10月23日に放送スタートとなった俳優・濱田岳が主演する『釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助』(テレビ東京系)。初回は平均視聴率10.8%とまずますの滑り出し。ネットでの概ね好意的な声が多かった。さっそく同ドラマをチェックしたコラムニストのペリー荻野さんが、濱田岳版ハマちゃん、そして今秋ドラマの世代交代について綴る。
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そんなわけですっかり出そろった秋の新番組を眺めてみて、一番感じること。それは「世代交代」である。その代表格といえば、ご存知『釣りバカ日誌~新入社員浜崎伝助』だ。釣りバカ平社員のハマちゃんこと伝助と、彼を釣りの師匠と呼ぶスーさんこと社長の鈴木一之助が繰り広げる珍騒動。国民的人気だった映画版では西田敏行と三國連太郎のコンビで親しまれた作品を、“リアルハマちゃん”の濱田岳と二代目スーさん西田敏行が演じている。
ドラマ版のポイントは、ハマちゃんが新入社員というところ。釣りバカ就活生のハマちゃんは、就職試験連敗中だというのに、大企業鈴木建設の面接で釣りの話を始めてヒートアップ。椅子から立ち上がって釣りパフォーマンスを繰り広げて面接官を呆れさせる。奇跡的に入社できハマちゃんは、土手で偶然、しょぼくれたスーさんを見かけ、互いの立場を知らないままに「じいさんも釣りやれば」と海釣りに出かけて意気投合。その後、釣りのせいで出世をふいにして「釣りの話はするな!!」と獅子舞のような顔で怒り狂う係長(武田鉄矢)と釣り対決をすることになる。
濱田岳は初回からエンジン全開。スーツでダッシュし、課長(吹越満)に怒鳴られ、みち子(広瀬アリス)にびんたを食らう。中で私が一番「ハマちゃんだ~」と思ったのは、その「鼻の角度」である。仕事場ではやる気もなく、下を向いてるハマちゃんの鼻は、釣りの話が出た途端、自信ありげにぐぐっと上を向いてくる。この鼻角度の使い分けは、まさに西田敏行が作り上げてきたハマちゃんではないですか。私の頭の中で、世代交代完了!のファンファーレが鳴り響いた。
同様にNHK朝ドラ『あさが来た』を観ていて感じたのは、「おてんば女優」の世代交代。華やかな振袖を着て、家の廊下を走り回り、嫁いだ後も勢いであの新選組にも物申す。天真爛漫にして大胆な娘を演じる女優といえば、ちょっと前までは宮崎あおいだった。しかし、今回は「びっくりポンや!」と目をぱちくりしているのは、波瑠である。宮崎は、そんな妹をまぶしそうに見守る姉ちゃん。確実に世代交代していたのだ。
一方、『オトナ女子』にも気になる場面が出てきた。自分が熱中していたドラマについて、年下の仕事仲間から「小学生の時に見てました」と言われ、年齢差をひしひしと感じる 中原亜紀(篠原涼子)。うちに帰ると、男(斎藤工)がバスタオルで頭をバサバサとふきながら出てきたのである。おお、こういう役は確か江口洋介の得意技ではなかったか? その江口はこのドラマで彼女が大好きだった恋愛ドラマを書いていた脚本家として登場する。バスタオル頭バサバサ男も世代交代が完了していた。
『釣りバカ日誌』のはハマちゃんの母親役が榊原郁恵、『ぼんくら2』では、回想シーンでもないのに風間俊介の母親役が小西真奈美である。テレビ朝日のお散歩番組も加山雄三から高田純次に代わったばかり。まさに世代交代の秋なのだ。