男社会である“白い巨塔”の中で女医の闘いは孤独だ。彼女たちの悩みを一つ一つ聞いていこう。35歳の外科医は「女性ならではの悩み」を口にする。
「オペ中に急に生理が始まってしまい、そのまま垂れ流し……ということがよくあります。長いオペだと途中でトイレに行く暇もないので、ナプキンをしていても漏れてきてしまうし。それに生理痛の時にオペで立ちっぱなしというのは本当に辛いんです。でも周りは男性ばかりだから言えません」
病院内では同じ女性である看護師との関係が微妙なのだとか。
「医師はナースとの関係をスムーズに運ぶことが大切なんですが、若い女医にだけ意地悪してくるナースも多いんです。でも、ナースに嫌われると自分の患者さんの情報を教えてもらえなくなるなど、仕事に本当に差し支えるので、ペコペコするしかない。そういうナースに限って、男性医師の前では別人みたいに優しいんですよね(苦笑)」(循環器科医・28)
女医同士のいがみ合いもある。上司から可愛がられている女医は他の女医たちに嫉妬されるし、仕事ができないとバカにされる。
「上司である男性医師の前ではブリッ子して可愛がられてるのに、女の前では本性丸出しの嫌な女医もいる。女医がロッカールームで数人集まれば、噂話や他の女医の悪口ばかり。基本的にOLの給湯室と一緒です」(内科医・33)
男性の上司や同僚との関係も、OLと同じ。若くて可愛い女医はチヤホヤされるし、上司に飲みに誘われたら嫌でも断われない。逆に婦人科クリニックに勤務する女医(38)からはこんな嘆き節が。
「女性スタッフばかりなので、男性と知り合う機会がない」
さらに医療現場では、男性患者との接し方にも気を遣う。
「男性患者の下半身に触れなくてはいけない時がけっこうあるんです。とくに救急の現場で男性器に尿を取る管を入れる時なんかは、こちらが若い女医だと男性患者は気まずそう」(外科医・30)
※週刊ポスト2015年11月6日号