冷蔵庫、白黒テレビと並んで、洗濯機が『三種の神器』といわれたのは1950年代後半だ。それから60年近くが経って、洗濯機は各家庭に普及しているはずなのに、今、コインランドリーが静かなブームとなっている。
住宅地の広がる郊外には、容量が20~30kg台の大型洗濯機や乾燥機を備えた店もあり、24時間営業で常駐スタッフがいたり、広々とした駐車場を備え持ったりといった形態も珍しくなくなっている。
ただ、コインランドリーというと、単身者が銭湯に通うついでに使うもの、という印象もまだ根強い。
「コインランドリーって洗濯が終わるのを、漫画雑誌を読みながら待っているイメージです。薄暗くて男性ばかりで、そういうところには入っていきづらいですよね。それに他の人が使った洗濯機や乾燥機を使う気にもなれません。そういうところにあるのは、たいていタテ型の古い機械ですし…」(東京都・50才・主婦)
こう語る人がいる一方で、新しくなったコインランドリーをうまく使いこなしている人もいる。
「自宅の乾燥機と違って、大容量であっという間に乾くので本当に便利。花粉症の時期にも重宝しています」(東京都・51才・主婦)
「子供たちの運動靴と上履きの洗濯に使っています。専用の乾燥機まであるので、月曜の朝に間に合わないということがなくなりました。1回使うごとに機械を消毒してくれるコインランドリーも増えましたよ」(福岡県・42才・主婦)
「うちの近所のコインランドリーは超便利で、毛布や服などペット用品を洗えます。空いているかがスマホでチェックできて、全部終わったら連絡が入るので、そこでぼーっと待っている必要がないんです」(京都府・48才・主婦)
ライフスタイルに合わせた使い方はそれぞれでも、定期的にコインランドリーを活用しているのは、大多数が女性たち。その女性たちの社会進出とコインランドリー市場の活性化は、無関係ではなさそうだ。
全国コインランドリー連合会会長の柄野康二郎さんはこう話す。
「お仕事を持っている女性のかたが、夜、家に帰ってからお洗濯をしようとすると、騒音が気になりますよね。だから、週末にコインランドリーでまとめて洗って乾かすというかたもいます」
利用者がこれまでの洗濯機を持たない独身層から、一気に洗濯を済ませたい主婦層へと変わったことが、コインランドリーを増加させているようだ。
※女性セブン2015年11月12日号