芸能

武田鉄矢 母親の大切な役割は「子供をホッとさせること」

母親の大切な役割を語る武田鉄矢

 文庫版『私塾・坂本龍馬』を発売中の武田鉄矢(66才)が語るのは、母親の役割。母と娘の関係が多様化する中で、いちばん子供にしなければいけないこととは何か。母・イクさんのために『母に捧げるバラード』を作った武田さんが考える母親の役割を聞いた。

 * * *
 今の時代のお母さんたちはいろいろな情報を持っているから、子供に「あれも、これもしてあげなくちゃ」と焦ってしまうでしょうけど、母親のいちばん大切な役割は、子供をホッとさせること。それも、子供が幼いときだけじゃない。大きくなってからも安心させることが大切だと思います。

 ぼくは、雨が降ってくるとコロッと寝てしまうんだよね。自分でもどうしようもないと思うんだけど、雨音を聞くと催眠術にかかったように眠くなってしまう。なぜだろうと不思議に思っていたら、あるとき気がつきました。「あ、これ、母ちゃんだ」って。

 うちは貧乏だったから、母ちゃんはしょっちゅう、繕い物のためにミシンを踏んでいました。足踏みミシンって、降り出した雨と同じシャーッという音がするんです。うちの母ちゃんはミシンがけがうまかったから、その音が途切れない。

 その音がしている限り、母ちゃんは、火鉢の横で毛布をかぶって寝ているぼくのそばにいた。だから、雨音がしていると、ぼくは安堵感を覚えたのだと思います。雨音を聞くと、母ちゃんの横で寝ていたような安心感が生まれる。大人になった今でもそうなんです。

 よく、3才になるまでの子育てが重要で、そこで安定した情緒を育むことが、その後の人生にとって大事だといわれているけれど、要するに3才までって、人生の「縁側の時代」なんですよ。

 縁側って、家の中でもなければ外でもない、中途半端だけれど、とても安らげる場所ですよね。縁側に座った子供は、家の中にいる母親のシルエットを、障子越しに見ています。そうして「ああ、あそこに母ちゃんがいるな」と安心したかと思う一方で、外の景色を見ている。

 縁側の時代は、そういった安心感や情緒の安定、生き物としてホッとできる気持ちを、知らず知らずのうちに学習する期間なんだと思います。

 もう子供が大きいというお母さんで、小さい頃の子供にそんな体験は与えていないという人もいると思います。その子が小さいときのことをしっかり思い出してください。あなたが何をしたら子供は安心していたのか。何かひとつはあるはずです。それがわかったら、子供に伝えてあげてください。その子がつらいとき、苦しいときに必ず支えになるでしょう。

※女性セブン2015年11月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン