最近、街やターミナル駅でキャリーケースを転がす若い女性が増えている。明らかに旅人とは違う雰囲気の彼女たちは、なぜわざわざキャリーケースを持ち歩くのか。キャリーケースのヘビーユーザーでもある地下アイドルでライターの姫乃たま氏が、キャリーケース女子の生態をリポートする。
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先日、酒に酔っておおらかな気持ちになり、タクシーのトランクに大型キャリーケースを預けたまま降車してしまいました。気がついた時には後の祭り。領収書を受け取っていなかったため、一晩明けても所在がつかめず、交番で遺失届を提出したのち、為す術もなく呆然とTwitterを眺めていたところ、タクシー会社の方から失くしたキャリーケースの画像が送られてきたのです! 私は驚きと喜びの中で、いつの間にかキャリーケースなしでは生活できなくなっていることに気が付きました。
近年、街でキャリーケースを転がす若い女性が目に付きます。無機質なデザインで、出張や旅行の際に使われる印象が強く、時にシルバーカーとも混同されていたキャリーケースを、いつしか若い女性が楽しげに使用するようになりました。旅行者には見えない彼女たちは、何者で、どこへ向かっていて、キャリーケースの中には何が詰まっているのでしょう。
まず私のこと。私の職業は地下アイドルです。仕事はもっぱら電車移動で、衣装や物販のグッズはキャリーケースに詰め込んで自分で運んでいます。私だけでなく、ほとんどの地下アイドルにとって、キャリーケースは必需品です。
地下アイドルファンの中には、キャリーケースを転がしている女の子を見ると、どこのライブハウスに出演しているのか想像せずにはいられないという人もいます。私も職業柄、街でキャリーケースを転がしている女の子を見ると、雰囲気で地下アイドルか、そうでないかわかります。後からライブハウスで再会して、胸の中で「やっぱり!」と、思うこともあります。
では、地下アイドルみたいだけれど、そうでない子達は、一体何者なのでしょう。