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1970年代マンガ界におとめちっく旋風 陸奥A子の短編集発売

【マンガ紹介】『陸奥A子ベストセレクション』陸奥A子/河出書房新社/2052円

『小さな恋のメロディ』みたいなチェックのワンピースに、夜空の星屑、眼鏡の優しげな男の子。あーなんておとめちっく! なんてすべてがかわいいのっ。1970年代、マンガ界に「おとめちっく」旋風を巻き起こした陸奥A子の傑作短編集『陸奥A子 ベストセレクション』。最近出版されたばかりのこの本の分厚いページをめくるたびに、今読んでもまったく古びることのない素敵なシーン・憧れの1コマを再発見してしまい興奮さめやらずです。

 たとえば1974年に発表された初期の代表作『たそがれ時に見つけたの』。夕方の交差点でおばあさんを助ける男の子に一目ぼれした松実。親友のセイコ、亀淵くん、本田くんとグループデートしつつも、あのたそがれ時に見つけた男の子のことが気になって…。

 4人のほほえましい恋模様に胸がキュンとします。

「アイビー漫画」とも呼ばれた陸奥作品は、背景や小物も重要なポイント。ゾウ柄ワンピースやスヌーピーのスクールバッグなどオリーブ少女を先取りしたような松実のファッションのおしゃれなこと!

 背景は長年陸奥先生のアシスタントを務める実のお姉さんが描いているそうですが、昭和ファンシーなグッズ満載の部屋を見ているとこだわりが伝わってきて、まるで友達と好きなものについておしゃべりしているような楽しさがあります。少し大きめサイズの本書では細かい絵をしっかり堪能できるのもミソです。

 現在、東京・弥生美術館では「陸奥A子×少女ふろく」展を開催中。往年のファンだけでなく新しい読者も巻き込んで、再びおとめちっくムーブメントがきそうな予感です!

(文/横井周子)

※女性セブン2015年11月12日号

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