行政改革担当相として入閣した河野太郎氏は、悲願を果たした途端、過去のブログを「閉鎖」するなどして原発批判を封印、ブーイングや失笑を浴びている。
失笑の原因はブログ問題だけではない。河野氏は政治資金をめぐっても不可解な工作を行なっていた。入閣前日の10月6日付で資金管理団体「河野太郎事務所」の収支報告書を訂正したのである。
河野氏本人からの寄付1000万円のうち250万円を「借入金」に修正し、同時に、国会議員の資産報告書も貸付金の金額を「なし」から「250万円」に修正している。日付から見て、入閣にあたっての身体検査で官邸から問題を指摘されたであろうことは容易に想像できる。
奇妙なのは金額だ。政治資金規正法では個人献金の上限は1000万円と定められている。河野氏が1250万円を自分の団体に寄付し、上限を超えていることを指摘されて250万円を「貸し付け」にしたのであれば、話はわかりやすい。
しかし、実際は、寄付は上限ピッタリの1000万円であり、寄付先が自分の資金管理団体だけだったのだ。これは違法ではない。
ではなぜ、慌てて訂正しなければならなかったのか。政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之・神戸学院大学法科大学院教授はこう疑問を提起する。
「資産報告書は議員本人が作成するから、河野氏が最初から250万円を貸し付けと認識していれば、資産報告に書き漏らすとは考えにくい。普通、250万円も貸したら忘れないでしょう。
可能性として考えられるのは、河野氏は1000万円全額を自分の団体に寄付したつもりだったが、その他に別の政治家にも個人献金を行なっていて、合計すると法律の上限を超えてしまったのではないか。寄付の量的制限違反を隠すためにそのうち250万円分を貸し付けに訂正したとすれば辻褄が合う」
だとすれば、河野氏が制限を超えて“違法献金”した相手は誰なのか。自民党か、それとも野党の政治家なのか、疑問が疑問を呼ぶ。
クリーンが売りの河野氏は政治資金収支報告書をホームページで公開し、ネット上で政治献金を呼びかけるサイト「楽天政治LOVE JAPAN」の中で〈「政治とカネ」にまつわる誤解を解く努力を続けていきたい〉と書いている。
だが、今回の訂正については会見も開いていないし、本人から一切の説明もない。本誌が不可解な訂正の理由について回答を求めても、「公開を求められている事項につきましてはすべて公開を行っております」(会計責任者の文書回答)と木で鼻をくくったような対応だ。
あれほど役所に情報公開を求めてきた河野氏が、自分の政治とカネについて説明責任を果たさないのは自己矛盾ではないのか。
※週刊ポスト2015年11月13日号