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ケータイが当たり前世代 「思いよ届け」と願う気持ち理解?

 ファッションプロデューサーの植松晃士さんが、世のオバサマがたに、美しく健康に生きるためのアドバイスをおくります。今回は、IT社会にもの申す!

 * * *
 現代のIT社会では、もはや連絡が取れないとか、すれ違いなど起こりませんから。たとえ電波状況が悪くても着信履歴は残るし、LINEという手段もあります。

 それでも連絡が取れない状況は、たったひとつ。無視以外、ありえません。当然、恋愛において運命の悪戯なんて起きようがないし、運命に翻弄される悲恋も生まれにくい。あるのは戦略と作為に満ちた、恋という名の攻防戦です。

 たぶん、生まれたときからケータイが当たり前の世代のかたがたは、「思いが届きますように」と願う気持ちすら、よく理解できないのではないかしら。何か思ったら、すぐLINEして気持ちを吐き出してしまえばいいんですから。

 つまりは恋しい気持ちをぐっとこらえて、心の中で熟成させることができにくい世の中なんですよね。もちろん、いきなり江戸時代にタイムスリップしたいとは思いませんが、自分の20代を振り返ると、「あの頃のほうがよかったな」と思うこともいくつかあります。

 当時の連絡手段といえば固定電話がメインでした。家庭用FAXが普及しはじめた頃で、ポケベルを持っていた人も多かった。連絡が取れないときのドキドキ感とか切なさといったメロドラマ的な要素もありましたし、いちばん大きいのは、常に何かに追いかけられているような切迫感がなかったこと。

 何しろ、今は飛行機に乗っていても、メールだけでなく通話だってできちゃう時代でしょ?

 以前は、飛行機に乗ったら電話もメールも通じないのは世の中のお約束でしたから、フライトが長ければ長いほど、乗客は解放された気分になってくつろげました。それなのに、飛行機の中まで追いかけられるなんて…。

 他にも、テレビが大画面になり画像が鮮明になることで、シミやしわなど、見たくないものまで見えてしまったり。便利になる分だけ、実は不便になったりと、犠牲になったものの大きさをつくづく感じることがあります。

 あと10年もしたら、雑誌も文章と動画が半々くらいにミックスされたような、ホームページ的なものにシフトしていくのかしら。

 確かに、アートやファッションなど、写真が多用されている媒体ほど、画像が拡大できる電子版は大人の目に優しいと思いますよ。とはいえ、やはりお手紙を交換したり、電車でのんびり旅行するなど、心にゆとりと穏やかさを取り戻せるような、アナログな行為は、忘れたくありません。

 最近、一日中メールをしたり、ネットサーフィンしている中高年女性が私の周りにも増えています。

 どうか日に何度かは鏡を覗いて、自分のお顔にヒビやたるみができていないか、そちらのチェックも怠りなく。

 オバさん、万歳!

※女性セブン2015年11月12日号

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