今年のプロ野球は様々な問題を露呈した。今季、特にファンをシラケさせたのが、セ・パの実力差だろう。交流戦が終わった時点で、セに勝率5割を超えるチームがなくなったのは深刻だった。
これを解消する方法はある。セ・リーグでもDH制を導入するのだ。「両リーグの実力差の原因は、DH制の有無」というのは野球評論家の金村義明氏である。
「DH制がないと投手に打席が回ります。いい投球をしていても途中で交代させる必要が出て来るので、早めかつ効率的に点を取っておこうとスモールベースボールに走る。結果、バント要員が必要になり小さくまとまってしまう。一方のパはその心配がなく、攻撃力重視で下位打線まで組めばいい。野球が違うんですよ。例えばソフトバンクの今宮健太なんか、セの球団だったらずっとバントさせられていますよ」
投手の打者に対する攻め方もセとパで違う。
「セなら下位打線に一発を食らう危険は少ないが、パでは全員に一発があるため、パの投手は誰にでも厳しいコースに力のあるストレートを投げ込んでくる。だからセの打者はパの投手を打てない。セがDH制を導入すれば、ここまでの戦力差はつかないと思いますよ」(金村氏)
一方、江本孟紀氏は「クライマックスシリーズ(CS)廃止」こそが格差の是正に繋がると提唱する。
「これはセ・パ共通の傾向ですが、今では勝率5割ならCSに進むことができるので、5割を目指せばいいや、という野球になってしまっている。これでレベルが向上するはずがない。特にセのような全体のレベルが下がったリーグで、弱い者同士が競っているようでは何も解決しない」
※週刊ポスト2015年11月13日号