芸能

下町ロケット出演の立川談春 敵にも味方にも見える存在感

『下町ロケット』で役者としても注目の落語家・立川談春

 第3話の視聴率が18.6 %と、今期ドラマの最高を記録した『下町ロケット』(TBS系)。脇役ながら抜群の存在感を発揮しているのが、立川談春だ。落語家でありながら、本職の俳優たちを食ってしまうほど。ほかにも落語家たちの活躍が目立つ今期ドラマ。“落語家俳優”についてコラムニストのペリー荻野さんが綴る。

 * * *
 最近、ドラマで落語家が活躍している。その筆頭は、『下町ロケット』の立川談春だ。下町の小さな製造業「佃製作所」に白水銀行から出向して経理を担当している殿村(談春)は、夢を追いかける技術者社長の佃航平(阿部寛)の言動を常に冷ややかにチェック。熱血営業社員らとも対立しがちだったが、大手企業から不正な特許侵害裁判を起こされて会社が倒産のピンチになると俄然存在感を発揮する。

 そして劇的な勝利ともいえる裁判の結果、56億円もの和解金が入ることになり、大喜びをする佃社員の前でただひとり「確かに当面の資金難は免れました。しかし…」と会社がまだ安泰でないことを冷静に分析。「とてもあぐらをかいていられるような状況ではない」ときっちり話すのである。

 このシーンを見ていて、「さすが」とうなった人も多いはず。なにしろ、この場面だけでざっと50秒のひとりしゃべり。セリフの量は大変なものだと思うが、よどみなくすらすら~っと届いてくる。さすが話芸の人である。

 さらに見せ場は続く。和解金の話を聞きつけ、さっそく佃にやってきた白水銀行の支店長根木(東国原英夫)と融資課課長柳井(春風亭昇太)との対面だ。談春VS昇太の落語家対決。柳井は佃の開発した製品について「利益を生まない開発品などガラクタも同じだ」と言い捨てた人物である。殿村は、危機の際に佃を容赦なく切り捨てようとした二人にきっぱりと決別を宣言する。いやー、阿部ちゃんの「あんたらみたいな腐った銀行マンがこの国の未来まで腐らせるんだ!」という啖呵もよかったけど、殿村の「お断りします!」の一言も気持ちよかったですね。

 ご記憶の方も多いと思うが、談春は昨年、同じ日曜劇場『ルーズヴェルト・ゲーム』では敵方だった。敵にも味方にも見える得体の知れなさはとても貴重だと思う。

 得体の知れなさといえば、朝ドラ『あさが来た』に奈良の豪商・玉利友信役で登場した笑福亭鶴瓶。嫁ぎ先の両替商加野屋のために借金をしにきたヒロインあさ(波瑠)が、これから新しい商売をして金を返すつもりだという話を聞いて、あさとじーっとにらめっこ。その結果、「目泳がへんな」と彼女の度胸を評価し、「あんた、もうじき日本一の女商人になるで」と無利息で金を用立てるのだった。商人のしたたかさと豪快さ。善人悪人の区別とは一味違うこの得体の知れなさもよかった。

 思えば、ドラマ出演が多い鶴瓶はかつて『必殺仕事人V激闘篇』では悪を抹殺する仕事人でもあった。必殺シリーズには、故・古今亭志ん朝も噺家役塩八役でレギュラー出演していて、なんと悪人を得意の話芸で催眠術にかけて惑わし、抹殺するというマネのできない必殺技を見せていた。塩八は瀕死で高座に上がり死んでいく。個人的には、この志ん朝がベスト・オブ・落語家俳優である。
 
 年末には、談春原作の『赤めだか』がドラマ化され、ビートたけしが立川談志、二宮和也が談春を演じるほか、濱田岳が立川志らく、柄本時生が立川談かん、宮川大輔が立川関西新井浩文が立川段ボールなど、俳優陣が落語家を演じる。得体のしれない演技派が大集合。どんな落語家ぶりを見せるのか!? 気になる。

関連記事

トピックス

経営陣刷新でフジテレビはどう変わるか(左から日枝久氏=時事通信フォト、清水賢治氏)
【独占告白】経営陣を刷新したフジテレビに被害女性Aさんが望むこと「被害者救済を第一というなら、様々な報道で貶められた名誉の回復を願います」
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
中居正広の私服姿(2020年)
《白髪姿の中居正広氏》性暴力認定の直前に訪問していた一級建築士事務所が請け負う「オフィスビル内装設計」の引退後
NEWSポストセブン
これまで以上にすぐ球場を出るようになったという大谷翔平(写真/AFLO)
大谷翔平、“パパになる準備”は抜かりなし 産休制度を活用し真美子夫人の出産に立ち会いへ セレブ産院の育児講習会でおむつ替えや沐浴を猛特訓か
女性セブン
ネズミ混入トラブルを受けて24時間営業を取りやめに
《ゴキブリ・ネズミ問題で休業中》「すき家」24時間営業取りやめ 現役クルーが証言していた「こんなに汚かったのか」驚きの声
NEWSポストセブン
愛知県一宮市の住宅内のクローゼットで亡くなっているのがみつかった女子高校生の加藤和華さん(16)。事件から3日経ち、自宅前には花が備えられていた
〈ゲームでカッとなったのか…〉被害女子高生・加藤和華さん(16)の同級生が語った“思い出”「犯人を許せない」【一宮市・女子高生死体遺棄】
NEWSポストセブン
綱取りに期待が集まる大の里(写真/JMPA)
大の里に“上げ底”で横綱昇進プラン 八角理事長は「12勝は大きい」と手放しで絶賛、「2場所連続優勝に準ずる成績」の解釈はどんどん拡大
週刊ポスト
岡田結実
《女優・岡田結実(24)結婚発表》結婚相手は高身長の一般男性 変装なしの“ペアルックデート”で見せていた笑顔
NEWSポストセブン
ウッチャンナンチャンがMCを務める番組『チャンハウス』
【スクープ】フジテレビがウンナン&出川MCのバラエティー番組で小学生発言を“ねつ造演出”疑惑 フジは「発言意図を誤解して編集」と説明、謝罪 
女性セブン
くら寿司
《ピンク色の破れたゴムを…》「くら寿司」が迷惑行為に声明「厳正な対応を行う予定」実行者は謝罪連絡入れるも…吐露していた“後悔の言葉”
NEWSポストセブン
中学時代の江口容疑者と、現場となった自宅
「ガチ恋だったのかな」女子高生死体遺棄の江口真先容疑者(21) 知人が語る“陰キャだった少年時代”「昔からゲーマー。国民的アニメのカードゲームにハマってた」【愛知・一宮市】
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認め全店閉店へ(左・時事通信フォト、右・HPより 写真は当該の店舗ではありません)
【こんなに汚かったのか…】全店閉店中の「すき家」現役クルーが証言「ネズミ混入で売上4割減」 各店舗に“緊急告知”した内容
NEWSポストセブン