高倉健さん(享年83)は誰よりも墓参を大切にする人だった。ある人の命日には毎年、夜明け前に墓に花が手向けてあり、親族が誰かと思って待っていると高倉さんだった、といった墓参りに関するエピソードには事欠かない。
11月10日、高倉さんの一周忌を迎える。だが、ファンや近しい親族が手を合わせるべき高倉さん自身の墓はどこにもない──。
高倉さんは生前、鎌倉霊園(神奈川)に墓地を購入していた。
「20平方メートル超の土地には、健さんの小さな墓石や、12年間の結婚生活を送った故・江利チエミさん(享年45)との水子地蔵が建てられています。健さんは生前、ここを頻繁に訪れて供養していました。ただ、今後もここには納骨される予定はないようです」(高倉さんの知人)
実は高倉さんはごく近しい人に、「比叡山(京都、滋賀)に墓がほしい」と語っていたという。高倉さんは比叡山延暦寺の高僧である故・酒井雄哉・大阿闍梨(享年87)を敬慕していた。高倉さんの座右の銘《往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし》という言葉を送った人物でもある。
「大阿闍梨の思想や人柄に魅せられた高倉さんは一緒に山を歩くうち、『この比叡山に自分の墓がほしい』と相談するようになりました。比叡山側も高倉さんが望む場所に墓を作る準備を進めました。そして高倉さんは、近しい人に江利チエミさんの遺骨の一部を預け、“彼女の骨と一緒に比叡山の墓に眠らせてほしい”と伝えていたそうです。ただ、その願いはまだ実現していないのです」(比叡山関係者)
高倉さんが亡くなった後、遺骨や遺品、遺産の管理はすべて養女のAさん(51才)が行っている。19年前に高倉さんと出会った元女優のAさんは、高倉さん宅の別棟に住み、食事、洗濯、掃除など身の回りの世話をすべてこなした。高倉さんが亡くなる半年前の2014年5月に養子縁組をしたという。
現在、高倉さんの遺骨の場所を知っているのはAさんだけだと前出の知人は明かす。
「健さんが亡くなって以来、故郷・福岡で暮らす実妹などが“遺骨に線香を一本でもあげたい”と望んでいましたが、Aさん以外の遺族は今も遺骨の場所を知らないままです。Aさんと他の親族は疎遠な関係が続き、Aさんが一周忌法要をされるのかどうかもわからないのです。故郷の親族らはどうしようもなく、遺骨がどこにあるかわからないまま、福岡の本家の墓で法要を行う予定だそうです」
※女性セブン2015年11月19日号