野球賭博の開帳図利(とり)と常習賭博の容疑で大リーグのテキサス・レンジャーズに所属するダルビッシュ有投手(29)の弟、ダルビッシュ翔容疑者(26)が10月26日、大阪府警に逮捕された。日本のプロ野球のみならず大リーグをも賭けの対象としていた。かつて本誌が翔容疑者を取材した際は、少年時代にいじめられていた兄・有を守ったエピソードを語るなど「深い絆」を窺わせていた。
しかし、「野球賭博」という犯罪行為はその兄への大きな裏切りとなる。大リーグ研究家の福島良一氏が語る。
「大リーグ機構は賭博行為に対して日本よりもはるかに厳格に対応します。各球団は選手の面談や素行調査はもちろん、コンプライアンス組織を常設し、元FBI(連邦捜査局)の捜査官などを調査スタッフに据え、選手、コーチ、球団スタッフに監視の目を光らせています。
(野球賭博に手を染めた)巨人の3選手の問題は米国でも盛んに報道され、翔容疑者の件も大きく伝えられている。今シーズンは肘の手術で登板がないものの、実弟が大リーグの野球賭博を開帳していたことについて、ダルビッシュ選手が球団の聴取を受ける可能性は高いでしょう」
家族はどう受け止めているのか。翔容疑者の母親は憔悴しきった表情で「私は何もわかりません」と語り、父のファルサ氏にコメントを求めるも、経営する会社の広報担当者が「プライベートなことなのでお答えできない」というのみだった。
藤井寺に戻ってきた後、翔容疑者は幼な子を連れて祖母宅を頻繁に訪れていたという。その祖母は本誌の取材にこう答えた。
「(翔は)本当は優しい子なんです。ひ孫を連れて『ばあちゃん、体調はどうや?』って気遣ってくれてなぁ……。
でも、逮捕されたからには“これはアカンことをした”ということに気づいて、ひ孫のためにも更生してほしい。それだけしか言えんですわ」
多くの家族、そして何より敬愛する兄を傷つけた翔容疑者。日米球界を揺るがした罪を一番悲しんでいるのは兄・有だろう。
※週刊ポスト2015年11月13日号