【マンガ紹介】『あなたのことはそれほど(3)』いくえみ綾/祥伝社/972円
不倫されたら、どうしますか?
即離婚!とまで行かない人でも、少なくとも相手を責めるはず。が、『あなたのことはそれほど』の不倫妻の夫は責めません。〈僕はこの先どうあろうと ずっと 君を愛する〉。
それが、結婚1周年記念のプレゼントだと言うのです。笑顔で。もう無理だと取り乱す妻を見ても〈そういう…君も 好きだ〉と笑顔をぺたりと張り付けて―─。
いわゆる「いい人」タイプの夫と結婚し、普通に幸せな結婚生活を送っていた美都ですが、初恋の相手・有島と偶然再会、その日のうちに不倫スタート。
有島も既婚者なのでいわゆるW不倫(美都いわく〈私も結婚してるから大丈夫/安心して?〉)。赤ちゃんが生まれたばかりで、家庭を壊したくない有島。会いたい気持ちを止められない美都。〈「好きなことしていい」って言われたら/とりあえずあなたを今ひとりにしないわ〉とにっこり笑って夫を送り出す有島の妻――。
ドス黒い、けれど切実な愛の言葉が飛び交う様から目が離せません。
清廉潔白なのは、独身の美都の友人・香子のみ。〈有島に大事にされてるとでも思ってるの?〉〈未来のないものにすがって何が楽しいの?〉。
うん、正しい。私の若い友人は「登場人物が嫌いすぎて読めない!!」と憤慨していました。
うん、そうだよね。でも。私には四人全員の気持ちがわかってしまうわけで…。自分がどれくらい汚れた大人になったかの試金石に、どうぞ。
(文/門倉紫麻)
※女性セブン2015年11月19日号