2016年1月のマイナンバー制度導入を前に、韓国紙「ハンギョレ」(9月10日付)は「日本は(マイナンバー導入で)韓国式監視社会のドアを開けた」と警鐘を鳴らした。韓国では半世紀前に始まった「住民登録番号」制度で国民の情報を管理。番号にはあらゆる情報が紐付けられ、個人のプライバシーが丸裸にされている。日本でこれから起こることを考えるために、「監視国家」韓国の実情を見ていこう。
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韓国では、ネットショッピングや有料のオンラインゲーム、アダルトサイトを利用する際、クレカ番号とは別に、本人(年齢)確認用として13桁の住民登録番号の入力を求められる。収集された番号はサイトの利用記録とともに運営者側に蓄積されるので、子供が親の番号で勝手にアダルトサイトを見ようとしたら「すでに登録されている」と出たという笑い話まである。
さらにネット上には、住民登録番号を入力しただけで自分が会員登録しているサイトを検索できるサービスがある。さすがに閲覧履歴までは照会できないが、番号さえあれば、その人の趣味や性癖まで覗き見ることができてしまう。
近年、住民登録番号の大規模流出が相次いだことから、政府はネット上の新たな本人確認手段として、住民登録番号や生年月日、性別などの個人情報を除いた簡易識別番号「i-PIN」の導入を推進。1日の平均利用者数が1万人を超えるサイトに導入を義務付けたが、応じたサイト運営者は一部に止まっている。
また、韓国の国公立図書館では現在でも当たり前のように住民登録番号が載った「住民登録証」の提示が求められる。書籍の貸し出し時はもちろん、コピーも住民登録番号なしでは利用できない。コピーの内容を把握すれば、その人物の思想信条まで明らかになってしまうのだ。
※SAPIO2015年12月号