監督交代の際には、大幅なコーチ陣の入れ替えが行なわれるのが常だ。例えば阪神の金本知憲新監督が就任を受諾する条件に挙げたのが、矢野燿大、片岡篤史、今岡誠各コーチを入閣させることだったといわれる。
彼らは今年、スポーツ紙の評論家として活躍していた。専属評論家がグラウンドに戻ることでメディアには“空席”ができる。特に5球団で新監督が誕生した今オフは、そのイス取りゲームが例年以上に激しくなり、「10年に一度の大移動」(パ球団OB)といわれる。
「引退後の最もいい仕事は、もちろん指導者としてユニフォームを着ること。その次はメディアの評論家です。ユニフォームを着られなかったOBたちは、旧知の番記者やテレビ局社員などあらゆるツテを使って、必死に“営業”をかける。電話攻勢に加え、突然手紙が来ることもあるとか」(スポーツジャーナリスト)
まず狙うのはテレビだ。
「昔は年間500万~1000万円の専属契約が普通だったが、今はそんなのほとんどない。しかし放送席に座るごとに3万~5万円ほどのギャラがもらえる。月に5回もあれば御の字です。一番人気はNHK。ブランド力が依然強く、イメージがいいから講演の仕事が舞い込みやすいとか、コーチとして声がかかりやすいといわれる」(同前)
確かにNHK解説者からは、梨田昌孝氏が楽天の新監督になり、与田剛氏が同一軍投手コーチになった。この2つの空席を大勢が争うことになりそうだ。
「こういう時にモノをいうのが人脈。NHKは星野仙一氏の影響力が強い。いま最有力とされるのは山本昌氏です。親会社の中日グループが専属にするようですが、一方で、星野氏の後押しで与田氏の後釜に納まるとの噂も流れています。ある中日OBは“もっと星野さんに媚びを売っておけば良かった”と悔やんでいました(笑い)」(放送関係者)
※週刊ポスト2015年11月20日号