昨今は、常にイライラしているという人がいる一方で、実は上手に怒れないという人も増加しているという。
この原因には「相手に嫌われたくない」「怒りの感情を表現するボキャブラリーが少ない」「パワハラがこわい」などの理由があげられるが、その時々で適切に怒れないでいると、周囲に不快に思っていることが伝わらず、心の病気につながることも。つまり、上手な怒り方や伝え方を知る必要があるのだ。では、上手な怒りの伝え方のコツを紹介しよう。
【感情よりも希望を先に伝える】
怒ること自体は悪いことでなく、怒ることの主目的は“次からどうしてほしいか”を相手に伝えることで、感情を表すのは二の次でもいい。
ところが多くの人はこの順番が逆転したよくない怒り方をしている。例えば、門限を破った子供に対して、つい「どれだけ心配したかわかってるの!?」と感情をぶつけがちだが、怒りの目的に沿って伝えるのであれば、「次からは門限守ってほしいな。母さん心配したんだから」というふうに話すべきだ。
感情的にならず、今後(未来)に向けた希望を相手に伝えることが重要だ。
【NGワードに気をつける】
怒る時、つい口にしがちな言葉が、効果的かどうかをもう一度考えてほしい。
例えば、よく怒った時に使いがちな「なんで」と言う言葉が、相手を責め立てて吊るし上げる言葉。また、「前から言おうと思っていたんだけど」という言葉は、その場とは関係のない過去を引っ張り出すもので、どちらもNGワードとして使わないほうが賢明だ。
また、「いつも」「絶対」「必ず」といった言葉も、一方的に相手にレッテルを貼る常套句。こうしたNGワードを使ってしまうと、本来伝えたいことが伝わらなくなってしまうので、むしろ「どうしたらうまくいく?」などと相手にパスを出すような言葉に置き換えたい。
原因追及や相手の非難に走らず、これから先へ意識を向けた言葉遣いを心がけて。
【日頃から会話の中で互いの感情を伝え合う】
怒りやイライラの根本にあるコミュニケーションの不具合を改善するためにも、夫婦間や子供との会話の中であえて心がけてやってほしいのは、出来事の報告だけではなく、それをどう感じたかを日頃から伝え合うことだ。
“こんなことがあってうれしかった”とか“腹が立った”などを日頃からに話すことで、お互いの価値観や好みが自然とわかり、相互理解が進んでいく。また、“怒りの地雷”もわかるようになる。
そのためにするべきは、「衝突回避のために、無駄なことはしゃべらない」ではなく、むしろどんどん会話を増やして感情表現していくことこそ、実はとても重要なのだ。
◆監修/日本アンガーマネジメント協会代表理事・安藤俊介さん
※女性セブン2015年11月19日号