往年のレジェンド選手たちが球界の問題をズバリと突く短期連載。今回は400勝投手・金田正一氏が、日本プロ野球を揺るがせた野球賭博問題について物申す。
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最近は球界全体が選手に対する「思いやり」がなさすぎるね。巨人の二軍で蔓延していた野球賭博の問題が最たる例だ。
二軍の選手というのはいわば「野球の未成年者」です。球界は外部の誘惑も多い。チーム内で安い給料の子たちはどうしても付け込まれやすい立場にある。特に最近は昔に比べて、チーム内の貧富の差が大きいからね。
球界にはこういった“子供”を指導する“親”が必要なんだ。今回の責任は、指導するべき立場の二軍監督やコーチたちにあることを肝に銘じてもらいたい。
今回、野球賭博に手を染めてしまった若者を切り捨てたらいかんよ。たとえ罰を与えたとしても、もう一度再起の機会を与えてやらないといけません。
選手に対する思いやりを失っては、球界は長くは続きませんよ。
【プロフィール】金田正一(かねだ・まさいち):1933年、愛知県生まれ。国鉄、巨人で活躍。日本球界唯一の400勝、通算最多奪三振のほか数々の記録を持つ。
※週刊ポスト2015年11月20日号