今オフは多くの新人監督が誕生、同時にコーチ陣の刷新が行なわれた。中には今年は評論家として活動していた面々も含まれる。彼らのグラウンド復帰が意味するもの、それは空席となった評論家の座を争うOBたちの熾烈な「イス取りゲーム」開始の号砲だ。
まず狙われるのはテレビで、なかでもNHKは講演の仕事へ繋がりやすいと人気だ。もちろんスポーツ新聞の専属評論家も人気のポストである。
「特に金本(知憲)、矢野(燿大)、片岡(篤史)の3氏が抜けたスポニチの記者には売り込みが殺到しているといいます。“懐かしいOBたちからの電話が鳴りっぱなし”と苦笑していました」(球界関係者)
OBたちは老後の生活に不安を抱えている。プロ野球の年金制度が3年前に廃止され、収入面は厳しくなる一方。老後資金を蓄えるためにもメディアのイス取りゲームは死活問題だ。とはいえこのご時世、雇う側も空席を必ず補充するとは限らないという。
「将来的に監督やコーチになって球団に戻れるような人材でなければ、メディアも専属契約は結ばない。高齢のOBではその確率は低く、再就職は厳しい。それに“出戻り”組もいる。例えば阪神の和田豊前監督はサンスポに戻った。和田さんはサンスポにかなり厳しいことを書かれて怒っていたようですが、背に腹は代えられないということでしょう」(スポーツジャーナリスト)
各球団の現場首脳人事が固まるのは年内いっぱい。それまで現場にあぶれたOBたちの激しい生存競争が続く。
※週刊ポスト2015年11月20日号