日本ではマイナンバーの通知が始まったが、同様の制度を半世紀前から導入していた韓国では何が起きているのか。韓国版マイナンバーである「住民登録番号」は、たびたび流出事件が発生している上に、公務員による覗き見も日常茶飯事だった。
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住民番号の流出と並び、韓国で問題化しているのが公務員による個人情報への不正アクセスだ。韓国メディアの「アジアニュース通信」(9月30日配信)によれば、個人情報の取り扱いを巡って懲戒処分を受けた公務員は過去3年間で410名。2012年比で2014年には2倍近くに増加しているという。
処分者は中央行政機関の職員が半数を占め、続いて地方自治体、教育機関と続く。違反内容は職務と無関係な「私的閲覧」が約40%でもっとも多く、「第三者への無断提供」も約30%を占めた。
2013年には、京畿道金浦市の住民センター職員が、昔の恋人や知人の居所を把握する目的で複数の住民番号を不正閲覧していたことが発覚。また2014年6月には、同じく京畿道の警察官による個人情報の横流し事件が明るみに出た。
韓国紙「国際新聞」(2014年6月20日付)によると、関与した警察官は複数で、このうち1人は、ギャンブルにより債務を抱えた女性の住民番号を売春業者に提供し解任処分を受けた。個人情報の不正使用で懲戒処分を受けた警察官はこの5年間で87人に達したが、発覚したのは氷山の一角と見られている。
※SAPIO2015年12月号