中国では唐代(618~907年)から秋の風物詩、コオロギ(蟋蟀)を戦わせる「闘蟋(とうしつ)」が盛んだが、北京では最近、これが賭博の対象となり、一晩で数万元が動くこともしばしばで、警察の家宅捜索に会い、40人以上が逮捕される事件起きた。
このところコオロギ賭博は過熱化しており、強いコオロギならば。1匹5万元(約100万円)で取引されることもあるという。北京紙「新京報」が報じた。
闘蟋は歴史があり、唐代から始まり、宗王朝(960~1279年)に全盛期を迎えたといわれる。清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀を主人公にした映画『ラストエンペラー』で、晩年の溥儀が紫禁城の玉座から壺に入れたコオロギを取り出すシーンがあるほど、闘蟋は長い歴史がある。共産党統治下の現代中国では賭博としての闘蟋は禁止されているが、金を賭けない、純粋な娯楽として闘蟋は許されている。
とはいえ、非合法な賭博としての闘蟋はいまも盛んで、10月下旬の深夜に北京市内で摘発された事件では、60平方メートルほどの部屋に50人もの男がひしめき、一晩で10万元(約200万円)以上の金が賭けられていた。
この事件では40人以上が逮捕されており、通常ならば、10~15日ほど拘留され、500元(約1万円)から3000元(約6万円)の罰金が科せられる。コオロギも20匹以上が没収されており、なかには1匹5万元の超高額なコオロギもいたという。
これらのコオロギには産地があり、最も高い値がつくのは山東省や河南省産のもので、小鳥や植物などの小売店が地元の「花鳥市場」で調達するという。プロになると、土の中で卵の時からずっと成長を待ち、育てる者もいる。強いコオロギならば、一晩で数万元程度は稼ぐことも可能で、いまやコオロギ市場は高値で沸いているといわれるほどだ。