「どんなに円満な離婚をしても、それは親の自己満足。子供には必ず悪影響を与えます」と語るのは、作家で翻訳家の丸井妙子さん。
「アメリカの研究によると、離婚家庭の子供は、そうでない子供に比べ、不安や抑うつを抱えがちで、学校を中退する者が約3倍、10代で妊娠する者が約2倍に。また、親の争いばかり見ていると、ストレスホルモン・コルチゾール値が上昇して免疫力が落ち、普通の子供の3倍、病気にかかりやすくなるのです」(丸井さん、以下「」内同)
離婚の影響は成人になっても続く。人間不信になるケースが多く、離婚率も2倍に。
「離婚時、親は自分のことで手一杯になり、子供のことまで考えられなくなります。でも、離婚後の子供の幸せこそ、自分の幸せになるのです」
子供の立場で離婚を考え、夫婦が別れても、子供への愛情は永遠に続くと何度も伝えて、安心させることが大切。
「親が離婚すると、子供は情緒不安定になり、暴力をふるうことも。そんな時は、毅然とした態度でやめさせてください。そうしないと、暴れれば思い通りになると思って大人になってしまいます。離婚は子供に犠牲を強います。だからといって甘やかす必要もありません。目を離さず、愛情をかけ続けてください」
それでは、子供に与える離婚の影響を最小限にする方法はあるのだろうか。まず一つ大切なのは、元配偶者の悪口を言わずに離婚した事実だけ伝えることだという。
「離婚はパパのせい。不倫をして、私たちを捨てたの」などと、別居親の悪口を言い、自分ばかり正当化し続けると、逆に子供が成長した時、不信感を抱かれ、親子関係が壊れてしまう可能性がある。また、自分も別居親のような“悪い人間”になるのではと、自信を喪失することも。
「子供には、離婚について簡単に説明し、両親も残念に思っていること、子供が離婚の原因ではないことをしっかり伝えましょう。そして、昔のようにみんなでは暮らせないけれど、こんなに楽しい計画もあると、未来への希望を語ってください」
さらに、子供との時間を作り、スキンシップをするなどして楽しく過ごすことを意識することが大切だという。
「抱きしめる、キスをするなどのスキンシップは、子供が愛されていて安全だと感じるために欠かすことができません。愛情表現は、言葉だけでは伝わりません。行動でも示してください」。とはいえ離婚後は、仕事や家事に追われて忙しく、親も余裕を失いがち。
無理に休みを作って遊びに行くのではなく、入浴時間や寝る前など日常の合間に、子供と2人だけの時間を作る意識をすることが大切。
また、元配偶者やその親戚と面会の機会をつくることも重要だという。
片方の親と完全に会えなくなると、子供は、「自分が捨てられたのでは」という不安や、「自分が捨てた」という罪悪感を持つようになる。「面会をする場合は、数時間会って食事をするだけではなく、元配偶者の家に、週末をかけて泊まりに行くくらいが理想的。実家に戻るなど、離婚によって親子が遠距離になってしまった場合は、夏休みなどをうまく利用しながら機会を作ってみましょう」。
元配偶者を“敵”ではなく“子育てのパートナー”と捉え、関係を再構築するのが、子供の未来のため、そして自分のためにもなる。
※女性セブン2015年11月26日号