10月京都府警に詐欺と商標法違反で逮捕された松永かなえ容疑者(26才)。彼女が「ばびろんまつこ」と称してツイッターに綴ったセレブ生活が話題になっている。自称「ハイパーエリートニート」。自己申告の年収は3000万円。しかし、逮捕容疑はカルティエの偽ブレスレットをネットオークションで本物として65万円で販売したという“チープ”なものだった。
そんなばびろんまつこを取り巻くのは、ツイートウォッチャーの憧れや嫌悪感。さまざまな感情が入り乱れる深層心理を、コラムニストの犬山紙子さんは、「下世話な目」と表現する。
「自分とは違う世界にいる人の生活を覗くのは、単純に楽しいですよね。しかも、お金持ちアピールなんて嫌われがちなことをひけらかすキラキラツイートは、下世話な意味ですごく面白い。憧れている人の他にウオッチャーが多かったのはそのせいでしょう」
芸能人の自宅や豪遊ぶりを紹介するバラエティーなど、セレブな生活を紹介する番組は昔からあった。
「芸能人のセレブライフは見ているだけで幸せになるし、私も頑張ろうって刺激も受ける。一般人のセレブ自慢は、芸能人より嘘っぽい感じが品がなくて、つい見ちゃう。
“一般人のくせに自慢しちゃって”と、その厚顔無恥さをバカにしてる気持ちもどこかあります」(マスコミ関係女性)
そう、芸能人でもない一般人のセレブアピールは、痛々しい。でも、それこそが注目される要因なのだと、犬山さんは語る。
「本当のセレブはアピールしません。キラキラツイートの自己アピールは、昔は貧乏だったとか、モテなかったとか、金銭的なコンプレックスが原動力になっていたりするんですよね。下世話な目でウオッチングしている人たちにとっては、キラキラ女子のコンプレックスが透けて見えるから、たまらない」
セレブアピールや、モテ自慢は、つらい経験やトラウマが根底にあるからこそ――ばびろんまつここと、松永容疑者は長崎県北部の農家に4人きょうだいの長女として生まれた。岡山大学法学部を卒業後、地元の大企業へ就職するも、ほどなく上京してIT企業へ転職。“美人広報”としてメディアにも登場したが、数か月前には離職し、逮捕時は無職だったという。
故郷のある九州に住む50才の主婦は、そんな彼女の心の底に潜むコンプレックスをツイートから感じ取っていた。
「国立大や地元の大手企業に進んだ優秀なお嬢さんだったようですが、昔からいた、“都会に染まった、典型的な田舎の娘”という印象を受けました。中身以上に自分を大きく見せてしまい、結果的に周囲を騙すことになってしまった。でも詐欺はダメですよ。ネットでセレブ風に振る舞う様子は、結婚詐欺で捕まった木嶋佳苗と重なりましたね」
2009年に結婚詐欺・連続不審死事件が発覚し、「毒婦」といわれた木嶋佳苗被告(40才)も、自身の“セレブな生活”をブログで発信。エルメスのバーキンやベンツを自慢する“元祖・キラキラブログ”だった。
彼女の経歴が明らかになるや、“田舎コンプレックス”“容姿コンプレックス”があったと評された。彼女が使った偽名が中学時代の美人同級生の名前だったと報じられたことは、そのコンプレックスをまさに体現している。
※女性セブン2015年12月3日号