「精巧に作られた衣装や髪形から当時の風俗が分かるだけでなく、顔や手の表情から人びとの内面までも想像させるところが兵馬俑のすごさ」と話す東京国立博物館学芸研究部の川村佳男主任研究員が、ちょいマニアックな兵馬俑の見方を教えます。
川村:写真の跪射俑(きしゃよう)を見てください。何をしているか分かりますか?
壇蜜:何かを構えていますね。飛び道具ですか?
川村:正解。矢を放つための準備動作に入っている兵士。重装備の鎧を着込んでいることから、迫ってくる敵に一斉射撃を浴びせる役割があったと推測されています。クロスボウのような武器を持って、攻撃命令を待っているところではないでしょうか。片ひざ付いているのは格好をつけているわけではなく、臨戦態勢なんです。顔がテンパッてるでしょう?
壇蜜:なるほど。面立ちは某芸人さんによく似てらっしゃいますが、緊張感が伝わってきますね。戦いで命を落とすかもしれない人の顔って、こんなだったんだな…。これは当時の人にしか出せない表情ですよ。2200年前の人の時が止まってここにいるって、すごいことですね。
川村:本来は全身に彩色が施され、将軍俑などはかなりカラフルだったことが分かってきました。
壇蜜:う~ん。私は、こういう彩色がはげた状態だからこそ、精悍さとか謎めいた様子が映えるのではないかな…と思いますね。
【東京国立博物館 特別展「始皇帝と大兵馬俑」】
●開催期間…~2016年2月21日
●開催場所…東京国立博物館 平成館
●観覧料金…一般1600円 大学生1200円 高校生900円 中学生以下は無料
※福岡展は2016年3月15日~6月12日まで九州国立博物館で開催。大阪展は2016年7月5日~10月2日まで国立国際美術館で開催。
撮影■高橋進
※女性セブン2015年12月3日号