国際情報

中国の石炭消費量 実際は6億tも多くCO2も10億t増える

 中国の石炭消費量が政府発表の統計数字よりも17%も多く、それに伴い二酸化炭素の年間排出量も統計よりも10億トン以上も多くなることが分かった。まったく「でっち上げ」ともいえる数字と発表していたことになる。さらに、この10億トンという数字はドイツの二酸化炭素放出量よりも多いから驚きだ。

 中国は11月末にパリで開幕する第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、2大排出国である米国とともに世界に温暖化ガス削減を呼びかける方針だが、統計数字そのものがいい加減なことが分かったことから、中国政府の信頼性にもクエスチョンマークがつきそうだ。

 中国政府の発表によると、中国の2012年の石炭消費量は約32億3000トンだったが、実際は17%多い約38億トンだった。このため、2012年の中国の石炭消費量は、全米の消費量の7割にあたる6億トンも上方修正されている。

 さらに、これにともない、二酸化炭素の排出量は従来では91億3000トンだったものが、本当は約102億トンだったことが分かり、統計よりも10億トン以上も多かった。

 これについて、中国の自然資源保護協会顧問で、中国エネルギー省幹部だった楊富強氏は「製鉄やセメント産業などの中小企業や工場での石炭消費量の誤差が大きく、報告した数字を精査した結果、訂正せざるをえなかった」と苦しい釈明に追われている。

 しかし、楊氏は「中国では石炭消費量が徐々に減少する傾向が続くとみられるだけに、確実に二酸化炭素の排出量も減るのは確実だ」と弁明している。

 中国は世界最大の温暖化ガス排出国だけに、習近平・中国国家主席は昨年11月の米中首脳会談で、「2030年ごろをピークに二酸化炭素(CO2)排出を減少させ、非化石燃料の発電比率を20%にする」と言明し、中国の温暖化ガスの削減目標を初めて公表し、米国とともに、温暖化対策に力を入れる意向を示していた。

 これを受けて、中国は11月末の第21回COP21で、温暖化ガス削減を主張する予定だったが、中国の排出量統計のでたらめさ加減が明らかになったことから、統計そのものの信頼性が揺らいだことになり、自主的に設定する削減目標の達成にも疑問符がついた形となった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小磯の鼻を散策された上皇ご夫妻(2025年10月。読者提供)
美智子さまの大腿骨手術を担当した医師が収賄容疑で逮捕 家のローンは返済中、子供たちは私大医学部へ進学、それでもお金に困っている様子はなく…名医の隠された素顔
女性セブン
吉野家が異物混入を認め謝罪した(時事通信、右は吉野家提供)
《吉野家で異物混入》黄ばんだ“謎の白い物体”が湯呑みに付着、店員からは「湯呑みを取り上げられて…」運営元は事実を認めて「現物残っておらず原因特定に至らない」「衛生管理の徹底を実施する」と回答
NEWSポストセブン
北朝鮮の金正恩総書記(右)の後継候補とされる娘のジュエ氏(写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮・金正恩氏の後継候補である娘・ジュエ氏、漢字表記「主愛」が改名されている可能性を専門家が指摘 “革命の血統”の後継者として与えられる可能性が高い文字とは
週刊ポスト
英放送局・BBCのスポーツキャスターであるエマ・ルイーズ・ジョーンズ(Instagramより)
《英・BBCキャスターの“穴のあいた恥ずかしい服”投稿》それでも「セクハラに毅然とした態度」で確固たる地位築く
NEWSポストセブン
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「箱わなで無差別に獲るなんて、クマの命を尊重しないやり方」北海道・知床で唱えられる“クマ保護”の主張 町によって価値観の違いも【揺れる現場ルポ】
週刊ポスト
火災発生後、室内から見たリアルな状況(FBより)
《やっと授かった乳児も犠牲に…》「“家”という名の煉獄に閉じ込められた」九死に一生を得た住民が回想する、絶望の光景【香港マンション火災】
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン