来年4月から自治体の胃がん検診で、バリウム検査に加え「胃カメラ(内視鏡)」による検査が導入されようとしている。バリウムより負担は軽く、発見率は高い。話題の新刊『バリウム検査は危ない』(小学館)の著者・岩澤倫彦氏(ジャーナリスト)が要点をまとめた。
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年間5万人近い人の命を奪う胃がんは、早い段階(ステージI)で見つかれば9割以上が完治できる。早期発見を実現するため、来年4月から自治体の「胃がん検診」で内視鏡検査(胃カメラ)がバリウム検査と選択制で導入され、内視鏡の場合、検査の間隔は「年に一度」ではなく「2年に一度」になる見込みだ。
メリットは様々ある。内視鏡検査はバリウム検査より3倍以上も発見率が高い。検査に要する時間は5~10分程度で済むし、発泡剤や不味いバリウムを飲んでゲップを我慢し、その排泄のために下剤を飲んだりする負担もなくなる。
その内視鏡検査には様々な誤解もあるので、経鼻内視鏡検査の第一人者・川田和昭医師の監修した、重要なポイントを挙げる。
【ポイント1】「つらい内視鏡」は過去の遺物
「オエッ!」となった経験を持つ人は少なくない。それは口から内視鏡を入れて舌の奥の部分(舌根部)を刺激し、咽頭反射と呼ばれる反応が起きたからだ。
それを解決するのが、鼻から挿入する経鼻内視鏡。経口よりも細い内視鏡(直径5.4~5.9mm)を鼻から通すと、舌根部に触れないので苦しくならないのだ。
【ポイント2】「口から」と「鼻から」の画質は同等
「経鼻内視鏡は画質が悪いので経口を使用する」と説明する内視鏡医は意外に多いが、それも過去の話。約4年前に出た新機種からは、経鼻と経口の画質、解像度は同等になっている。
【ポイント3】内視鏡医の技術格差は極めて大きい
医師免許があれば誰でも内視鏡を使えるが、胃がん発見の技術認定を受けているのは消化器内視鏡学会の専門医だ。内視鏡医選びを間違えると、見落としの可能性さえある。
※週刊ポスト2015年11月27日・12月4日号