街にクリスマスのイルミネーションが飾られはじめたこの季節、テレビの天気予報では、「明日は今年いちばんの冷え込み。温かくして出かけましょう」など、秋から冬に変わろうとしていることが伝えられる。
この時期に表れるさまざまな不調は、気象の変化による“気象病”である、ということがWHO(世界保健機関)などの調査で明らかになった。
『その痛みやモヤモヤは「気象病」が原因だった』(青春出版社刊)の著者で、大阪市内にある上本町わたなべクリニック院長の渡邊章範さんは、いち早く気象病という病に注目したひとりだ。
「私自身、大学生の時からめまいに悩まされていて、台風や雨、寒冷前線が迫ってくると特に症状がひどくなりました。これはどうしたことかと、ずっと不思議だったのです。また、気温が急激に下がる、上がるなど変化の激しい日、雨が降った日、気圧が下がった日などに、関節痛、腰痛、神経痛、頭痛、血圧が上がった、不整脈が出た、などと言って来院する患者さんが明らかに増えるんです」(渡邊さん、以下「」内同)
自律神経とは、自分の意志とは関係なく働く神経のことで、アクセルの役割を果たす交感神経と、体を休ませるブレーキの役割を担う副交感神経がある。
寒くなれば交感神経が優位になって、末梢に血液がいかないようにして内臓に血液を集めたり、暑くなれば副交感神経が優位になり、血管を拡張させ、熱を放出し、体温の上昇を防ぐなど、気象の変化にも対応しているのだ。
「しかし気温の変化が激しいと、自律神経は体を温めたほうがいいのか、冷ましたほうがいいのかわからなくなってしまい、バランスを崩してしまう。ホルモンや血流などの動きも乱れ、これが気象病を引き起こします」
注意したいのは、急激に気温が低下した時。
「なかでも40才以降の人は、血圧が130から160に跳ね上がってしまうこともあります。早朝、寒いトイレで脳卒中や心筋梗塞を起こして倒れ、家族が目覚めたときはすでに亡くなっていたということが起こるのはそのためです」
一方で、気圧が低下すると、体の中の圧力が、外気と比べて相対的に上がるため、めまい、頭痛・関節痛、関節リウマチ、気管支喘息の悪化などを引き起こす。さらに交感神経が優位になりアドレナリンが増え、興奮状態になることで、血圧・脈拍・自律神経が乱れ、気持ちの落ち込みや不眠やうつ病の悪化などが引き起こされる。
※女性セブン2015年12月3日号