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エリザベス1世 結婚の可能性ちらつかせライバル国翻弄した

 たった一人の人物の、積み重ねた努力、計算ずくの駆け引き、起点を利かせた行動が、国や世界を動かすことがある。歴史の流れを変えた人物たちは、どんな外交を展開してきたのか。エリザベス1世(1533-1603)にはしたたかな戦略を取っていた──。

 16世紀のテューダー朝に君臨した、イギリス史上最も有名な君主。「結婚と宗教」を駆使した外交術で弱小国だったイングランドを敵の侵攻から守った。関東学院大学教授・君塚直隆氏が語る。

「若く美しい時代には、フランスの王子やスペインの王位継承者に自分との結婚の可能性をちらつかせ、ライバル国を翻弄しました。年老いて結婚カードが効かなくなると、敵国内で反乱を起こしたプロテスタント勢力に資金や情報を送って裏から支援し、ライバル国の体力や経済力を消耗させた。

 彼女はラテン語、イタリア語、フランス語が堪能でオスマン皇帝やロシア皇帝に直筆の手紙を送り、良好な関係を築く外交努力も怠りませんでした」

 生涯独身を貫いて祖国に身を捧げたことから、「処女女王」として英国民に愛されている。

※SAPIO2015年12月号

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