がんは死に直結する特別な病気…ほとんどの人がそんなイメージを持っているかもしれない。でも、実はがんは誰もがなり得る“当たり前”の病気だ。『「平穏死」10の条件』などの著書でも知られる長尾クリニック院長の長尾和弘さんはこう語る。
「統計では日本人の2人に1人以上ががんになり、1年間の死亡者数約120万人の3分の1の35万7000人ががんで亡くなります。
がんになりながら、心筋梗塞や老衰など他の病気で亡くなっている人を含めると、6割の人ががんとつきあうことになる。つまり夫婦でいえば、夫か妻のどちらかがなるぐらいの確率。がんは国民病であるということを知ってほしいですね」
がん家系という言葉があるように、遺伝的なことも関係しているが、多くは後天的な条件。3割程度はウイルス感染でC型肝炎やA型肝炎から肝臓がんになったり、あるいはピロリ菌などから胃がんになり、そして7割程度は生活習慣病からがんになるという。
「そういうふうに考えると、がんになる人はだいたい予測できるわけです。ですから、普段からがんになった時の予測をしてほしい。特にがん年齢といわれている50代〜70代の間に、がんになるかもしれないと思って、どこかで備えて生きている必要があると思います」(長尾さん)
だったら運に任せて何もしなくていいや、と思ってはいけない。長尾さんが続ける。
「例えば胃がんは今ではたいていは治りますし、乳がんの5年生存率はもう9割を超えています。がん全体で見ても、6~7割は死にません。
もう“がん=死”ではないのです。がん検診で命拾いをした人を数え切れないほど見てきました。がんで死にたくないと思ったら、がん検診を受けてください」
※女性セブン2015年12月10日号