【漫画紹介】『涙雨とセレナーデ(1)』河内遙/講談社/627円
朝ドラ『あさが来た』にはまってます。器の大きい優男・新次郎さん、行動派の五代さん、芯は優しくナイーブな惣兵衛さん。三者三様の男性たちも素敵ですが(私は新次郎派!)、個人の思いを超えて動く歴史ものの要素がドラマの魅力をさらに増しているように感じます。
そんな歴史と美男、ロマンスを愛する人にぜひオススメしたい最新少女マンガが、時空を超えた恋を描く河内遙『涙雨とセレナーデ』です。雨の匂いのする洋館、ヴァイオリンの音、ハンサムな御曹司。ロマン溢れる物語の始まりに胸が高鳴ります!
女子高生の陽菜は、ある日突然、授業中にタイムスリップ。明治40年(1907年)の日本に来てしまいます。そこで出会ったのは自分と瓜ふたつの顔をした伯爵令嬢・雛子とその婚約者・本郷。この不思議なめぐりあいから、運命の歯車はぐるぐる回り始めます…!
前作『関根くんの恋』では残念なイケメンを魅力たっぷりに描いた河内遙。今作でも本郷の色気と存在感はただごとじゃありません! 礼儀正しさの下に垣間見える影がほうっておけないオーラを醸し出しています。実は子供の頃に一度タイムスリップした陽菜に出会い、以来雛子だと思い込んで恋している本郷。複雑な三角関係の行方はいかに?
もうひとつ本作の鍵になりそうなのがきなくさい時代背景です。日露戦争後東アジアの強国となった当時の日本は軍拡モード。進む財政悪化とその後の歴史は既に私たちが知る通りです。すれ違う恋と時代の大きなうねりが今後、どうドラマにかかわるのか。ぜひご注目を。
(文/横井周子)
※女性セブン2015年12月10日号