北京では11月下旬の異常寒波で大雪に見舞われ、北京首都空港では1日で航空便300便以上がキャンセルとなった。これは空港開設以来、最悪の数字だ。これは、空港の除雪設備が不足していることや従業員の除雪作業の不慣れなどが大きな原因で、空港当局は今後、対策を強化していく方針だ。北京紙「新京報」が報じた。
北京周辺部や中国東北地方では今年は寒波が異常に発達しており、11月1日から27日までの27日間の日照時間はわずか31時間48分で、これは例年の136時間24分と比べると、4分の1以下となる。
また、11月の気温も低めで、ほぼマイナス10度前後が多かった。例年はマイナス1度か2度で、かなり低めとなっている。
この原因とみられるのが微小粒子状物質(PM2.5)を中心とする大気汚染で、「核の冬」現象だ。これは、核戦争により地球上に大規模環境変動が起き、人為的に氷河期が発生するというもの。核兵器により大量の灰が空中に巻き上げられることで日光が遮られることで起こる現象を意味する。
北京では10月、11月でもPM2.5が大量発生し、視界がきかない状態が続いており、町全体が急速に冷却化していった。このような中、雨が降ったことで雪に変わり、大量の積雪に見舞われたとみられる。
これで最も大きな影響を受けたのが空港で、除雪のための温水融雪システムも完備しておらず、除雪車自体もほとんど準備されていなかったため、除雪に時間がとられ、その間、40センチ以上も雪が降り積もったところもあったという。
また、除雪設備が少ない分、1000人以上の人員が出動する人海戦術をとったが、作業員自体が除雪作業に慣れていないうえに、全体を統括するリーダーが不在で、個人個人がばらばらにスコップで作業をしており、たまった雪が通行の邪魔になるなど、除雪作業の体をなしていなかったという。
北京空港では今回の反省点を踏まえて、今後の天気予報から寒波を予測し、除雪対策を充実させることにしている。
この一方、市中心部の観光地である故宮博物院や北京市内を一望できる景山公園には、観光入場するまで30分以上もかかるなど客が多数押し寄せ、珍しい雪景色を楽しむ場面もみられていたという。