冷たい風が吹きつけて、肌のうるおいを奪っていく。気づいたら、頬はカサカサ、ファンデーションは割れてバリバリ、唇がささくれだっていた…そんな“恐怖の季節”の本格的な訪れを前に、気になるランキングが発表された。
いい皮膚の日(11月12日)に大手化粧品メーカー・ポーラが発表した「ニッポン美肌県グランプリ2015」。これは昨年9月から今年8月までの間に、ポーラのスキンチェックを受けた平均年齢40.6才、全国約73万人の女性のデータに基づき、都道府県別に美肌偏差値をランキングしたもの。「肌のうるおい」「ニキビ」「シミ」「くすみ」「毛穴」「キメ」の6項目を調査し、その結果として、ナンバーワン美肌県を選び出している。
栄えある1位に輝いたのは、出雲大社や宍道湖で知られる島根県だ。なんと島根県は、調査が始まってから4年連続でトップの座に着く、驚くべき“美肌力”。いったい何が島根女性の肌を美しくしているのだろう。
いったいなぜ、島根は4連覇に輝くことができたのか?
ポーラでは、肌の美しさを左右する5大要因として「水蒸気密度」「日照時間」「生活習慣」「肌荒風」「毛穴熱風」を挙げているが、これらの条件が整っているのが、島根なのだという。
「島根の日照時間は全国で7番目に短く、その分、紫外線の影響を受けにくい。『水蒸気密度』は、お肌のうるおいに影響します。空気中の水分量と思っていただければいいのですが、これも全国で11位と高い位置にいます。『肌荒風』は山から吹きおろしたり、狭い平野を通り抜けたりする肌を乾燥させる風ですが、島根はこの影響をほとんど受けない、など条件が整っているのです」(ポーラ宣伝部)
「毛穴熱風」は毛穴を開かせる夏の熱風のことで、島根にはこれもない。確かに、空っ風など『肌荒風』が強い北関東は、下位に低迷(群馬・44位、栃木・46位、茨城・47位)していることからも、環境がお肌にいい影響を与えているのは間違いない。
でも島根の右隣の鳥取は12位だし、左隣の山口は26位。環境が美肌のヒミツだとしたら、このランキングの差はなんなのか?
実は、島根の美肌のヒミツは環境だけでなく、食べ物にあることが今回の調査で明らかになった。
「ランキングを見ると、1位島根、2位山形、3位愛媛、その下は石川、富山、秋田と続きます。過去のランキングを見ても、上位は中国・四国、東北・北陸地方に集中する傾向がある。地理以外の要因について、今回、東京家政大学栄養学科の先生や学生さんたちと研究をした結果、食文化についてある特徴が見つかりました。それが、魚を丸ごと、みそやしょうゆ、みりんといった発酵調味料を使い、加熱調理して食べるというものです」(ポーラ宣伝部)
日本海側や瀬戸内海は魚が豊富で、食卓には頻繁に魚料理が登場する。多くの魚には、肌を健康的に保つドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)が含まれており、さらに、普段は捨てることの多い皮にはコラーゲンが、そして内臓には豊富なDHAやEPAが含まれている。そのDHAやEPAは、発酵調味料を使うことで酸化が抑えられ、効率的に摂取できると考えられている。
実際に、島根にはその食文化が根づいていた。
「大田市の郷土料理に『へかやき』というものがあります。これは、地元の新鮮な魚を甘辛いしょうゆで味つけた鍋料理で、魚のすき焼きというイメージです。下処理した魚をぶつ切りにして、野菜と一緒に煮込む、まさに魚を丸ごと食べる料理です。近くに漁港があり、新鮮な魚が手に入るので、お刺身や煮つけなど、旬の魚料理が食卓に並びます」(公社・島根県観光連盟)
※女性セブン2015年12月10日号