中国のバイオテクノロジー会社である英科博雅遺伝子科学技術有限公司は韓国の研究所と共同で、天津市の経済開発区に2億元(約40億円)を投資して、世界最大の動物クローン飼育場を建設し、1年間で100万頭のクローン牛を生産すると発表した。中国国営新華社電などが報じた。しかし、専門家によると、クローンの動物は食料として安全かどうかも検証されておらず、生産コストも高く採算がとれないのではないかと懐疑的だ。
同社の許暁椿会長はこう語る。
「このプロジェクトの最大の目標は、中国の消費者に質の良いクローン牛の牛肉を大量に供給することにある。第一段階として、年間10万頭のクローン牛を生産してから、それ以降は毎年100万頭を製造する第2段階に移る予定だ」
さらに、会長は「クローン牛肉は私が味わった牛肉の中で最もおいしかった牛肉だ」とも付け加えている。
中国では今年9月、北京大学で、2012年に生まれたクローン牛「ニューニュー」が子牛を出産。子牛は現在も健康であり、今後はニューニュー中心にしてクローン牛を繁殖させることになる。
新華社電などによると、北京大学の研究チームは2014年11月2日、牛の冷凍精液をニューニューに人工授精した。299日後の今年8月28日未明、第2世代の「遺伝子組み換え子牛(メス)」が誕生しており、体重は17キロだった。
同社では今後、この成功事例をもとに、クローン牛の繁殖を行うことにしており、新華社電は「これは中国が体細胞クローン技術を活用した自主ブランドの肉牛新品種の繁殖で、重要な一歩を踏み出したことを意味する。中国人は間もなく、国産の霜降り肉を食べられるようになるかもしれない」などと報じている。
しかし、専門家からは「クローンは通常よりも早く老けて病気にかかりやすいなど、さまざまな副作用に苦しんでいる。安全性が検証されていないため、欧州議会はクローン家畜肉類の販売を禁止している。また、クローンの場合、メスの卵子を採取し、複製された受精卵を再び子宮に戻すなど、ほとんどが手作業でコストが高い。動物のクローン作りには膨大な費用がかかる」との懸念も出ている。