「インターネット動画配信サービス」とは、ネット回線を通じて動画を配信するサービスで、昨今、ネット回線が高速かつ大容量になったことで急激に成長している。
今年9月に、6900万人もの会員数を誇る世界最大のインターネット動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」が日本に上陸。ユニバーサルなどが出資して作られた「Hulu(フールー)」や、NTTドコモが提供する「dTV(ディーティービー)」、USENグループから独立してできた「U-NEXT(ユーネクスト)」なども会員数を増やしており、サービスは“戦国時代”に突入している。
テレビを有料で視聴する文化がある欧米と違い、日本では“テレビは無料”という価値観が根付いている。なぜ、会員数が増えているのか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏がいう。
「ドラマの予定調和な展開や、バラエティ番組などで度々発覚するヤラセ問題が原因で、多くの視聴者は今のテレビに疑問を抱いています。一方の制作側もスポンサーへの配慮や視聴者のクレームに対する過剰な自主規制で、制作意欲が薄れている。テレビ業界全体に蔓延している“倦怠感”を払拭してくれるのが、ネット配信なんです」
例えばフジテレビは女性下着メーカーを舞台にしたオリジナルドラマ『アンダーウェア』を制作してNetflixに提供しているが、地上波では扱いにくい“下着”という題材は、ネット配信だからこそ企画できたと言われる。
「視聴者は多くの作品群から自分の好きなものを選べ、厳しい規制から解放された制作側は自由に面白いものが作れ、再びそれが視聴者に受け入れられる。ネット配信には、本来あるべき“健全な視聴環境”があると言えます」(井上氏)