メニューに掲載されていない知る人ぞ知る「裏メニュー」は、全国チェーン展開する店にも存在する。どの支店でも頼めるメニューがある一方で、特定の店舗でのみ可能な「裏メニュー」もある。
牛丼チェーン『吉野家』の築地一号店では、「つめしろ」や「肉下」といった聞き慣れないオーダー方法が可能となっている。
「つめしろ」とはご飯を冷たい状態で出すことをいい、「肉下」は牛丼の具の上にご飯を載せるという、通常の盛り付けとは逆の形で出す牛丼のことだ。
誕生した背景には、市場関係者が常連客に多い築地という立地がある。急いで食事を済ませて仕事に戻るために冷えたご飯で一気にかき込みたいとの声から生まれたのが「つめしろ」、力仕事を終え空腹な時、まずは白飯を食べてお腹を満たすために生まれたのが「肉下」というわけだ。
通常メニューにはない「裏メニュー」は、店側にイレギュラーな対応をもたらし、オペレーションを煩雑化させる恐れもある。あくまでも従業員と常連客の信頼関係によって成り立っているため、無茶な注文をしないなど注文するにも状況を読む必要がある。また、ここで紹介した吉野家の例は、あくまでも「築地一号店」の話だとご理解いただきたい。
※週刊ポスト2015年12月11日号