夢のマイホームを購入しようと思えば、真っ先に竣工前の新築マンションを物色しがちだが、先日、ある興味深い調査結果が出た。
内閣府が11月28日に発表した「住生活に関する世論調査」によると、〈住宅を購入するとしたら新築か中古か〉とのアンケートに、一戸建て・マンションを合わせ〈中古がよい〉と答えた人の割合が9.9%いた。
同じ設問で〈新築がよい〉と答えた人が73.0%いたことを見ると、やはり新築人気は根強いと捉えることもできるが、2004年の調査と比較すると、「新築派」は9.2ポイント減り、逆に「中古派」は3.4%から大幅に増えている。
中古でよいとする理由は、〈住みたい場所に住宅を購入するためには、中古住宅の価格の方が手が届きやすいから〉(61.0%)と、価格面を挙げる人が圧倒的だった。
調査した10月は、旭化成建材によるマンションの杭打ち偽装が発覚し、資産価値の目減りを懸念する報道も相次いだため、「中古のほうが価格が安いうえ、あらかじめ建物の耐久性や部屋の騒音・水漏れなど欠陥の有無を確認してから購入できる」(都内不動産業者)メリットを感じる人も多かったのかもしれない。
もちろん、築年数の経過した中古マンションのほうが割安なのは当然だ。そのうえ、住宅ジャーナリストの山下和之氏によれば、「中古の8、9割で何がしかの値引きが行われ、売り主は値引き前提で売り出し価格を設定する人が多い。ダメもとで値引き交渉をしないと損」と話す。
だが、時には百万円単位の値引きをするような安い中古物件には、“それなりの理由”があるのも事実だ。そこで山下氏に、中古マンション市場の動向と失敗しない値引き交渉テクニックを挙げてもらった。
【今は特に売り出し価格と成約価格の乖離が大きくなっている】
今年の春先までは完全な売り手市場で、物件が不足し、人気物件は市場に出る前に売れてしまう“瞬間蒸発”が相次いだ。先高感から売り惜しみも強く、市場になかなか物件が出てこなかった。それが、次第に様相が変化。「そろそろ売り時だ」と売却に出る人が増加しているため、新規登録が増え、在庫が積み増し状態になってきた。
昨年10月の売り出し価格の平均平方メートル単価は45.49万円で、成約価格が43.53万円。その差は4.3%で、ほぼ売り出し価格に近い価格で契約が成立していた。それに対し、今年10月は売り出し価格が52.75万円で、成約価格が45.80万円。その差は13.2%に拡大している。売り主はこれまでの流れから強気の値付けで売りに出しているが、実際の市場価格はそれよりかなり低い(東日本不動産流通機構のデータ)。
売り出し価格で買うのは愚の骨頂。少なくとも5%、10%の値引きの余地はある。