クリスマス商戦で賑わう百貨店、化粧品売り場に異変が起きている。真っ赤な口紅を試し塗りする女性たちの姿があちらこちら――。
《赤いルージュ、復権》という見出しが11月20日の朝日新聞朝刊に掲載された。《景気が上向くと流行するとされる赤い口紅が売れている》という。
資生堂は「マキアージュ」の鮮やかな赤、コーセーは「エスプリーク」の深みのある赤、ポーラも秋に売り出した新商品が好調で目標設定を超えるペースで売れているという。また、水原希子(25才)や石原さとみ(28才)、紗栄子(29才)などのファッショニスタが最近、表舞台で赤い口紅を塗っているのをよく見かける。
「今年、赤口紅の反響はとても大きいです。2年ほど前から一部のファッションアイコンの間で赤人気が出てきましたが、普段でも赤口紅を使いたいという声が多く聞かれるようになりました」(大手化粧品会社関係者)
赤い口紅といえば、バブル期に大流行したアイテム。小泉今日子(49才)は、1987年に発売したシングル『スマイル・アゲイン』のジャケット写真で、白いドレスに赤い口紅姿。当時25才だった今井美樹(52才)の資生堂のCMでは、白いシャツ姿で長い黒髪をなびかせる今井の真っ赤な唇と、こぼれる白い歯も印象的だった。
でも、どうして今年、赤い口紅なの?
「女性の髪形やメイクには、その時代や社会の変化が反映されています」
そう話すのは、『化粧にみる日本文化』の著書がある化粧心理学者の平松隆円さん。
「バブル期に赤口紅が流行して以来、2012年頃までの約20年間はピンク系の口紅が主流でした。最近、赤い口紅が復権したのは、少しずつ景気が上昇しているから。そして今、新しい独立した女性像が求められていることを象徴しているように感じます」
実際にバブル期に絶頂を迎えた赤い口紅の使用率はしばらく10%未満が続いたが、2014年には35%に急上昇したという。そして今年―赤口紅の復権とともに、2児の母となった今井は、大晦日、自身にとって2度目となる紅白歌合戦の舞台に立つことが決まった。
※女性セブン2015年12月17日号