駅から徒歩10分、公園や緑に囲まれた横浜市郊外の住宅街。70坪ほどの土地に建つ2階建ての一戸建てが新婚のふたりの「愛の巣」だ。ところが、その玄関に立つ新郎の表情は曇り気味。
「とてもじゃないけど、新婚気分になんてなれない…」
そう語る新郎は、29才のプロ将棋棋士・渡辺(旧姓・吉田)正和五段。新婦は51才の“かるた女王”渡辺令恵(ふみえ)さんである。ふたりが11月17日に入籍すると、「22才差婚」が話題を呼んだ。
令恵さんは競技かるたの第一人者で「全日本クイーン」を11連覇したこともある、かるた界のレジェンド。一方の正和五段は、プロ棋士のほとんどが小学生から棋士養成機関である奨励会に入会する中、アマチュアとして実績を重ね、19才で奨励会に入会、22才でプロになった異色の経歴の持ち主だ。
ふたりが出会ったのは昨年1月、共通の知人である将棋の森内俊之九段(45才)の竜王への就位式だった。正和五段が振り返る。
「第一印象は『将棋を知らない人だなァ』。子供みたいに天真爛漫な女性なので年の差は感じません。ぼくにとってはどちらかというと“手のかかる娘”みたいなもんですね。でも、かるたをしている姿は別人ですよ」
そんなノロケ話で表情を緩めるのもつかの間、厳しい表情に戻ってこう語った。
「ぼくはもう、この家から追い出されるかもしれないんですよ」
もともと冒頭の一戸建てでは1階に令恵さんが、2階には令恵さんの弟家族が2世帯住宅のような形で住んでいた。家の権利の持ち分は令恵さんと弟で半分ずつ。そこに婿入りした正和五段が同居するつもりだったのだが…。
「弟さんに『この家には住まわせない』と言われてしまったんです。(権利は半分だが)建物を半分に分けるわけにはいきませんから、妻が保有している権利を買い取ってもらい、私たちはどこか別の場所に住まいを探すつもりなんです。裁判を起こすかもしれなくて。はァ…」
そう深い溜め息をつくと、正和五段はある書類を記者の目の前に取り出した。
「実は妻の生命保険の受取人が弟さんになっていたんです。受け取り額は1600万円。これが保険証書です。昨日、その保険を解約してきました。妻1人でも解約できるんですが、“1人だと不安だから”と言うので、ぼくもついて行きましたよ」
近隣住民は首をかしげながらこう話した。
「令恵さんと弟さん一家は、ご両親が亡くなった後も一緒に暮らして、仲が良さそうでしたよ。そこに若い旦那さんが来てバランスが崩れ、ギクシャクしちゃったのかな」
この“お家騒動”、次の一手はまだ見えない。
※女性セブン2015年12月17日号