空前のブームとなっている猫の人気は、数字にも明らかだ。ペットフード協会の調査によれば、5年前、およそ200万頭以上の差があった飼い犬と飼い猫の頭数は、昨年約30万頭までに縮まった。
猫の頭数は増え続け、来年は猫が犬を追い抜きそうな勢い。ペットフード協会名誉会長の越村義雄さんは、猫の“ふわふわ感”が人気に関係しているかもしれないと分析する。
「猫の毛は柔らかく、触っているだけで、犬よりも幸せホルモンのオキシトシンの分泌が多少多く出る傾向があるようだ、とする専門家の先生の報告もあります。
また、ペットフード協会の調査によれば、飼い主に、生活に最も喜びを与えてくれるものは何かと聞くと、猫の飼い主は1番にペット、2番に家族をあげます。犬の飼い主は1番が家族、2番がペット。こういったところから、一度猫と暮らし始めるとその魅力にひかれるかたが多いと推測できます」
猫は犬のように、種類によって姿・形などが大きく変わることはない。そのあたりが全体的な猫好きを底上げしているとの見方もあるが、猫が増えている理由はそれだけではない。日本の住宅事情や高齢者の増加も関係している。
「日本は賃貸だとペット不可の物件がまだ多く、猫は犬のように鳴かないからとこっそり猫を飼うかたがいるのも理由の1つです。また、犬の散歩は高齢者の健康寿命延伸にはいいのですが、体力に不安を感じて猫を選ばれるかたも増えているようです。散歩代行サービスなど高齢者を支援するインフラが整備されれば、犬と暮らしたいというかたも増えるかもしれません」(越村さん)
分譲マンションこそ、ペット可は当たり前のようになっているが、賃貸物件でペット可の物件は全体の5%と少ない。そんな逆境にも負けないのが猫ブーム。NPO法人東京キャットガーディアンが始めた“猫付き”のシェアハウスとマンションが注目されている。
「都内を中心に、飼い主のいない保護猫を貸し出して、猫を飼いたい人が一緒に暮らせるシェアハウスやマンションが、増加しています」(ニッセイ基礎研究所・松村徹さん)
※女性セブン2015年12月17日号