プロ野球オフシーズン最大の行事・契約更改の季節が今年もやってきた。今季の成績はどう評価されるのか、選手にとっては試合以上に緊張する瞬間かもしれないが、スポーツ紙に掲載される「推定年俸」の額は実際の年俸とほぼ一致するという。
「アップした選手は口ごもるか低めに漏らすが、ダウン提示を受けた選手は実際の数字をいう傾向がある。減額をアピールして同情を買いたいんでしょう」(スポーツ紙記者)
球団が用意する査定資料には、260にも上る項目がある。担当者が「選手に文句をいわれないよう」(パ・リーグ査定担当者)、全試合を細かく観戦してポイントをつける。CMなどの営業活動まで考慮される。
「基本的には加点法です。タイトルやオールスター出場などはもちろん、ヒット1本でも先取点に繋がる1本か、散発の1本か、サヨナラ勝ちの1本かで評価は変わります。凡打でも進塁打は貢献点になるし、空振りも盗塁を助けるものならポイントが付く。
守備や走塁も細かくチェックします。マイナスもある。サインの見落としなどですね。採点法は12球団でほぼ同じだと思います。これを前年の数字と比較し、年俸増減の根拠にするのです」(阪神で球団社長を務めた野崎勝義氏)
もちろん球団側は交渉の席で多少上げてもいいように、最初からマックスの提示はしない。その意味で、インセンティブ契約は球団に有利に働くという。
「本人には目標ができる一方で球団はリスクが少ない。年俸のベースを抑えることができるし、仮にインセンティブを達成する選手が多くても、それはチームも好成績だから増収を見込める状況ということ。実に合理的な契約です」(野崎氏)
※週刊ポスト2015年12月18日号