11月13日に起きたパリ同時テロでは、一見ただのウエストポーチにしか見えない「自爆ベルト」が多くの市民の命を奪った。長年テロの研究を続ける青森中央学院大学の大泉光一教授がいう。
「パリのテロでは、自爆ベルトや小型小銃が武器として用いられました。さらに今回は政府施設や対立する宗教施設を狙うのではなく、民間の施設を無差別に狙うテロでした。こうしたテロ行為の効果は絶大です。世界中にテロ組織の存在感を示すと共に、恐怖心を植え付けることができる。加えて経済的なダメージを与えるのです」
危険な武器は「自爆ベルト」だけではない。大泉氏は欧州での調査中に、テロ組織が使用している武器の写真を入手した。
「2004年にスペインのマドリッドで起こった列車同時爆破テロの首謀者といわれるエジプト人のラベイ・オスマンがローマで逮捕されたとき、彼のパソコンから出てきた写真です」
ここに掲載した写真は、ただのスニーカーにしか見えないが、靴には爆薬が隠されている。
「この『靴型爆弾』を見た人の多くは、靴底に爆薬が仕込まれていると思われますが、違います。靴の紐にプラスチック爆薬が隠されているのです。プラスチック爆薬(C-4)はパテのような性質を持っているので、細いチューブに注入して持ち運びすることができるのです」(大泉氏)
さらに大泉氏は、プラスチック爆薬は金属探知機にも反応しないため、「セキュリティチェックを素通りしてしまう可能性が高く危険だ」と話す。もちろん、パリ同時テロでも使われた「自爆ベスト」も同様だ。ウエストポーチ型だけでなく、背中に爆薬を仕込むタイプもある。