雲の合間から陽は差すものの、木枯らしが頬に冷たい12月上旬のある日の昼下がり。東京・渋谷にあるNHK放送センターの玄関近くに、1台の黒いワンボックスカーが停まった。出迎えるNHK局員と、車から降りてくる関係者。そして車から最後に姿を見せたのは──。
「真っ白の暖かそうなファーのコートをまとった黒柳徹子さん(82才)でした。大きなマスクをしていて顔はよく見えませんでしたが、特徴的なヘアスタイルですぐにわかりました。黒柳さんは車から降りると、関係者の用意した車椅子にゆっくり腰をかけ、スタッフに押されて局内に入っていきました。彼女は今、NHKの番組には出演していないので、『紅白』の打ち合わせだったのでしょう。最近は少しの移動にも車椅子を使うようにしているそうです」(NHK関係者)
11月26日、NHKは今年の掉尾を飾る『第66回紅白歌合戦』の司会者、出演者を発表した。紅組司会の綾瀬はるか(30才)、白組司会のV6・井ノ原快彦(39才)、総合司会の有働由美子アナウンサー(46才)の登場後、サプライズ発表された、もう1人の総合司会が黒柳徹子だ。
黒柳は1958年の第9回紅白歌合戦で紅組の司会を務めた後、1983年まで通算5回にわたって紅組司会を担当。今回は実に32年ぶりの紅白司会への復帰となる。
VTRで会見に登場した黒柳は、「ついさっきうかがったので何をやるのかわかりません」と会場を笑わせたのち、「年の功で何とかしようと思います。私が(司会)最年長だと思われますので、最年少から最年長まで、そんなに長く司会をした人はいないと思う。それまで元気でいようと思います」と年末の風物詩にかける意気込みを語った。
しかし、黒柳は紅白司会のオファーを快諾したわけではなかった。紅白関係者が語る。
「年齢もありますし、健康面で不安があった。それに黒柳さんサイドへの紅白司会のオファーは本当に発表の直前でしたから。最初の黒柳さんサイドの反応は“今回は難しいのではないか”というものでした。NHKが何とか口説き落として総合司会として出場が決まりましたが、体力を考慮してか、“最大限の協力はするが、できるだけ出番は抑えてください”と制作サイドに伝えられたと聞いています」
冒頭の通り、車椅子で局入りした黒柳。その日の打ち合わせは短いものだったのか、1時間ばかりでNHKを後にした。
「すべて生放送で行われる紅白はリハーサルも数日間行われる長丁場です。車椅子を使っての移動は、それをしっかりこなすための『覚悟』のあらわれではないでしょうか」(前出・紅白関係者)
※女性セブン2015年12月24日号