平均視聴率27.2%(12月4日放送回)を記録すなど絶好調のNHK連続テレビ小説『あさが来た』。波瑠、宮崎あおい、玉木宏など年若い俳優が多い中で、終始現場を盛り立てたのが玉木演じる新次郎の父親・正吉役の近藤正臣(73才)だ。
実は近藤の生家は京都の小料理屋。高校卒業後は一流料亭『吉兆』で3か月間修業したこともあるという。その経験もあってか、息子を演じた玉木の演技をこう評する。
「ええ塩梅出すなあって思う。料理の味つけでも使う言葉だよね。『これええ塩梅にできてるやん』とかね。彼の天性のものもあるだろうし、『この役をこういうふうに見せたい』という意志がものすごく強い」
玉木への「変化球の中にド直球も投げる」というアドバイスは、その昔、近藤が名古屋章さん(享年72)からもらった言葉だ。
「難しいんだ。新次郎ってさ、ふらふらして、なんだか遊び人のようでいて、でもちゃんとあさには、正面を向いてる。ドラマの中では上手に表裏書かれているから、普通に演技をしていればいいんだ。変に妙に軽薄な男を見せようとしたり、能ある鷹は爪を隠す男を演じようとしたりしなくていいんだよ。
軽い変化球をいつも投げているんだけど、あさと向き合った時に直球を投げる。それは曲がらないスローボールだと思ってる。ちょっと難しい条件だけれども、新次郎って役は、そんなふうに攻めて、変化球とスローボールの2種類の球種を使えばいいんじゃないかな。
こんなに詳しくしゃべってはいないよ。相手はプロの役者だからね。だから、『変化球だけじゃだめ、直球でいいんじゃないの?』みたいな話をしただけ。
波瑠ちゃんがまたね、玉木くんの演技に触発されて、おもしろい。なんかね、2人とも好きなんだよ。
まるで兄妹だね。そういう関係に、おれには見えてる。2人には時代劇で現代の動きはあまりせんように気をつけろとは言っていました。
例えば、人に簡単に触るな。海外帰りの五代友厚くんが、握手を求めてくる。現代の感覚だったら、普通に握手をしてしまう。だけど、その時代の日本は握手の習慣なんかないねん。
だから、手を出されたら『え、忘れ物?』とか(笑い)」
※女性セブン2015年12月24日号