就活時期が来年度から見直しされることになった。2年連続の変更であり、そのことに対するメディアの批判もある。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏はどう捉えたか。
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12月7日、経団連は「採用選考に関する指針」の改定を発表しました。来年度、2017年度より新卒採用の採用選考解禁時期が現状の8月から6月に前倒しになります。2016年度に大幅な繰り下げが行われた後、2年連続で見直しが行われました。各メディアは時期をめぐる迷走だとか、実効性への疑問などを書き立てていますが、論点はそこでしょうか? より押さえておくべき論点を提示したいと思います。
まず、経団連は「迷走」しているわけではありません。粛々と時期を再修正しています。これは既定路線とも言えるものだと私は見ています。もともと、経団連は就活時期繰り下げについて反対の姿勢を表明していました。中堅・中小企業に対する配慮などからです。2017年度に押し切ったのはやや意外でしたが、ここには強い意志を感じます。この問題に対する経団連の榊原会長の情報発信は、会見の要約を読む限りでは実に誠実だったといえます。報道によっては、ややねじ曲げられていましたが。
今回、経団連加盟企業にもフライングがなかったわけではありません。ただ、正式な内々定の通知は選考解禁の8月1日以降だったことにより、中堅・中小企業が大手企業に内定者をひっくり返されるという事態となりました。この件も、就活時期の再変更の論拠となったといえるでしょう。
なお、今回の時期変更においても法的拘束力がないことやフライングが相次ぐのではないかと懸念されています。あるかないかでいうと、あるでしょう。それは歴史が証明しています。ただ、このようないわゆる「青田買い」の行為を行ったところで「買える」会社と「買えない」会社の差が顕著になっていることも2016年度採用という大いなる実験によって証明されたのではないでしょうか。
採用を決定付けるのは企業力と採用力の掛け算による面積だと思っています。企業力が上手く伝わっていない企業は採れないし、リーマン・ショック後に続いていた買い手市場の時代にあぐらをかき採用力を磨かなかった企業はやはり採れないわけです。いや、リーマン・ショック後も採用活動は決して楽ではなかったのですけどね。そして、罰則規定はないものの、このような「申し合わせ」があることにより、フライングするにしてもその目安がわかるというものなのですよね。