絶好調のNHK連続テレビ小説『あさが来た』で新次郎の父親・正吉役を演じる近藤正臣。近藤は来年2月で74才。日本人男性の平均寿命まであと6年。70才を過ぎた頃から自分自身の最期についても深く考えるようになったという。なお、作中で正吉は死去しているため、近藤の撮影は終了している。
「日本は長寿国という自慢めいた誇りめいたもんがあると、大人も評論家も政治家も言っています。だけど、この長寿がもたらしてるさまざまな社会の歪みはどうすんねや、と思うんです。『自分は、はよ死んだほうがええ』と思っています。
そんなこと言ってても、80才を超えてまだ生きてたら恥ずかしいなと思うねんけど、それはしょうがない。
実は70才を過ぎてからエンディングノートを作りました。『延命治療ナシやぞ、胃瘻というのもナシな。お葬式、あかん、葬式は密葬』とか。公正証書を作りましたから。私を含め、妻も子供たちも了承しています。
自死は多分しないと思います、多分ですよ。おれは体の何かが弱ってきて死ぬんでしょう。病気になるかもしれない。がんになったら、放射線やら浴びて、いっぺんは治療せなあかん。それが終わって、まだがんが残ってて転移しました。そこから先は延命治療だと思っているんです。
延命治療は嫌です。状況によって、どう死ぬかは変わってくるんですが、人工的に生きていくのだけは拒否します。人間らしく死にたい」
最後の撮影が終わった後、巾着袋を波瑠と玉木宏からプレゼントされた。玉木が縫って、波瑠が刺繍した手作りの作品だ。近藤は取材場所に、その巾着袋を持って現れた。
「かわいらしいやろ? 青いもみじの刺繍があるから、『こんなんおかしいやろ』と波瑠ちゃんに言うたら、ちょっとプーとふくれてました(笑い)。
もうおれは現場にいないから、つまり父親がおらんようになってん。家族で仲よくしっかり頑張って行けよ。玉木くんが長男や」
※女性セブン2015年12月24日号