循環系の血流不全が原因の突然死が発生しやすくなるといわれている冬の季節。そんな突然死を未然に防ぐには、喫煙、糖尿病、高血圧などの血管に悪い危険因子を普段からしっかりコントロールすることが重要だ。
さらに、予防医学の見地から、「海のものを食べましょう」と積極的に推奨しているのが、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構研究院教授で農業博士の矢澤一良さんだ。
病気になったら治すという従来の医学に対して、未病を改善したり、病気にならないように予防するのが予防医学の考えかた。その予防医学界が最強の抗酸化成分として注目しているのが、ずばり、アスタキサンチンだ。
「アスタキサンチンが含まれる鮭、イクラ、オキアミなど赤い食材には、脳神経を活性化させ記憶力の向上や認知症の改善に効果的で『頭がよくなる』ともいわれる“脳にいい成分”のDHAのほか、血小板凝集を抑制して血液サラサラ効果を発揮したり、血栓症の予防などを得意とする“心臓にいい成分”のEPAも一緒に含まれており、血流改善に非常に効果的なのです」(矢澤さん)
アスタキサンチンの抗酸化力は最強で、これを摂取することで、血管を柔らかくしたり血液をサラサラにするDHAやEPAの働きが促進され、血管や血流の健康を維持してくれるというわけだ。
「紅鮭以外にもかにやエビなどの赤い海産物にはアスタキサンチンが多く、野菜でもトマトや赤パプリカ、紫キャベツなど色の濃いものにはリコピンなどの抗酸化成分が。赤い食材を目印にするのもいい方法です」(矢澤さん)
血管の若さを保つのに、アスタキサンチンとDHAとEPAが一緒に含まれる紅鮭はまさに理想的だ。
実は厚労省の「日本人の食事摂取基準」2015年版では、コレステロールの摂取基準が撤廃されている。これは食事でコレステロールを摂っても大半の人の血中コレステロールに影響しないことが科学的に証明されたから。
「これまでイクラは高コレステロール食材といわれ、敬遠されていましたが、塩分さえ気をつければアスタキサンチンを含んだ理想の食材といえます」(矢澤さん)
紅鮭はもともと白身魚だが、川を遡上するのに備え、プランクトンやかにの幼生などを大量摂取し、体を活性酸素から守るため身が赤くなる。
血中のコレステロールにはHDLの善玉とLDLの悪玉があるとされてきたが、LDLそのものが悪いわけではなく、それが酸化することが問題だったのだ。
「喫煙や飲酒、ストレスなどで体内に活性酸素が発生し酸化悪玉コレステロールができると白血球が反応し、酸化悪玉コレステロールを食べた白血球が血管壁の中に入り込んで動脈硬化巣を作ります。それがどんどんたまって血管を詰まらせたり、血栓のもとになったりするので、LDLと活性酸素が結合しないよう抗酸化成分をDHAやEPA、ビタミン類と一緒に摂るよう心がけて」(矢澤さん)
※女性セブン2015年12月24日号