NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の勢いは止まらない。12月4日は最高視聴率を更新する27.2%を記録し、国民的ドラマに化けつつある。今後登場する新キャストも発表され、意外なキャスティングが話題になってもいる。
12月末から登場する新キャストとして注目を集めるのが、武田鉄矢である。役回りはなんと、『学問のすすめ』を著わし、慶應義塾を創設した「近代教育の祖」福沢諭吉。金八先生でおなじみの鉄矢節が、どのように諭吉役として炸裂するのか楽しみで仕方ない。
「キャスト発表のときに芸能記者の間で話題になったのは、『天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず』という福沢諭吉の名言を武田さんがいうシーンがあるのかということ。というのも、武田さんには金八先生時代に『人という字は人と人が支え合ってできている』という名セリフがあります。あのときの再現になるんじゃないかと」(スポーツ紙の芸能記者)
あさのモデルとなった広岡浅子は、実業家として名をなしただけでなく、日本女子大学校(現・日本女子大学)を創立した教育者でもあった。福沢諭吉は、あさに教育者としての目覚めをもたらすキーパーソンと考えられている。目下の注目は二人が出会うシーンだ。番組制作関係者が明かす。
「このドラマの収録はほとんどがセットなのですが、一日だけ和歌山にロケに行きました。それが武田さん演じる福沢諭吉とあさが東京ですれ違うというシーンです。実は福沢諭吉は、アメリカで身体のために歩くのがいいという考え方を知り、散歩を日本で流行らせた人なんです。
散歩中の福沢諭吉とあさがすれ違い、その後再会したときに“生涯心に残る言葉”をいわれる。その重要な出会いのシーンのために、明治維新のころの東京に似た雰囲気のある、和歌山のテーマパークに行ったんです」
話を聞いた本誌記者は、さっそく和歌山に飛んだ。ロケ地は、JR和歌山駅から車で30分弱かかる人工島に作られた和歌山マリーナシティというリゾートアイランド。このなかにある「ポルトヨーロッパ」という伝統的なヨーロッパの町並みをイメージしたテーマパークが、明治期の東京に見立てられたという。
※週刊ポスト2015年12月25日号