2015年シーズン終了後のプロ野球は、ストーブリーグも熱い。とくに監督人事が激しく動き、そのため、将来設計が狂った大物OBもいる。表も裏も知り尽くす記者たちが、その裏話を明かす。
スポーツ紙遊軍記者A:巨人の高橋由伸監督だけじゃなく、来季は若い新監督だらけになったが、背景には色んな人間模様の運・不運がありましたよね。自分の将来設計が狂ったOBがとにかく多い。まず野球賭博に絡んでいうならば、宮本慎也氏は完全に貧乏くじを引いてしまった側ですよね。
スポーツ紙セ・リーグ担当記者B:関係者の間では、小川淳司・前監督の後任は宮本監督だといわれていたし、本人もその気だったと聞いています。ところが2013年からチームは連続最下位。いくら宮本氏とはいえ短期間での再建は難しいだろうと、真中満打撃コーチをワンポイントで監督に昇格させた。球団社長が日大の先輩だったというのが大きな理由でした。
ところがその真中監督が、まさかの最下位からの復活優勝を果たした。これで宮本監督の芽はしばらく消えた。
スポーツジャーナリストC:そもそも宮本氏には2013年に、日本代表監督のオファーがあったらしい。でも宮本氏はヤクルトの監督になる可能性を考え、これを丁重に断わっていた。その結果、堀内恒夫氏の後任として日本野球機構の委員を引き受けたのだが、これまたまさかの野球賭博事件が起きて妙な注目を浴びることになってしまった。
スポーツ紙パ・リーグ担当記者D:宮本氏に代わって代表監督を引き受けた、小久保裕紀氏も同じような境遇ですよ。小久保氏も将来、古巣であるSB監督の座は間違いないといわれていた。それが2013年に代表監督に就任したのは、SBが当時、秋山幸二監督の元で長期政権が敷かれると見られていたからだと聞いています。
A:あの頃、秋山監督は就任5年目でまだ50歳。日本一も経験するなど、辞めさせられる理由はなかったですからね。ところが秋山監督は夫人の看病のため、2014年オフに突然勇退。思わぬ空席になったところへ工藤公康監督が収まり、あれよあれよと日本一を達成してしまった。
一方の小久保監督は、優勝を義務付けられていたプレミア12で世紀の逆転負けを喫して3位。監督としての力量が問われることになり、既定路線とされたSB監督の座も怪しくなっている。
※週刊ポスト2015年12月25日号