少子化が進み、「お墓を継いでくれる人がいない」「子供に負担をかけたくない」という悩みを持つ人が増えている。そんなニーズに応えるのが永代供養墓だ。
NPO法人・永代供養推進協会のHPには永代供養墓について、〈お墓参りできない人に代わって、あるいはお墓参りしてくれる人がいなくても、代わりにお寺が責任持って永代にわたって供養と管理をしてもらえるお墓です〉と説明されている。他の人と一緒の墓や納骨室(棚)に安置されることが一般的で、「合祀墓」などとも呼ばれ、そのニーズが高まっているのだ。
11月22日に大阪市内で開かれた終活イベント「よみうり これかライフ」には、シニアサークル紹介や相続相談窓口などともに、永代供養墓を紹介するブースが設けられていたが、多くの人を集めていた。来場者らに話を聞くと、永代供養が選ばれる理由は様々だ。
「先祖代々の墓を守っていく人がいないのでそこに入っている遺骨を合祀にしたい」「田舎の墓は遠くて不便だが、都心の墓地は費用がかかる」「自分の墓のことで家族に負担をかけたくない」「今の菩提寺との付き合いがうまくいっていない」といった思いを抱く人たちが増えているようだ。
関西地方にある某霊園では、永代供養墓の利用希望者向けに「遺骨を宅配で受け付ける」とHPに載せたところ、半年で約100もの遺骨が届けられたという。その半数が関東からのものだった。霊園関係者はこういう。
「価格は1万2800円。宅配便は遺骨を取り扱えないのでゆうパックを使っている。申し込みをくれた人には『送骨キット』を代引きで送るかたちです。遺骨を持参する労力や交通費を節約できることが好評の理由だと思う」
一家や個人のためのお墓という「かたち」にこだわらない人が、急増しているのだ。
※週刊ポスト2015年12月25日号