今年4月、「日本一有名な泡沫候補」と称された「羽柴秀吉」氏(本名・三上誠三)が65歳で亡くなった。幾多の選挙に出馬し、派手なパフォーマンスで話題を集めた彼の本職は、温泉旅館や建設会社を経営する「羽柴企業グループ」の社主だったが、家庭ではどんな人物だったのか。
会社では超ワンマン経営、家庭では亭主関白だったという。次男の三上大和氏は、社員や家族にとっては怖くて仕方がない存在だったと語る。
「どうやって手に入れたのかわかりませんが、父はなぜか家でトラを飼っていた。私が2歳くらいの頃、泣き止まないことに怒った父は、私をトラの前に引きずり出して顔を檻に押しつけた。冗談抜きに死ぬかと思いました。あの時の怖さは今でも忘れられません。そのトラは死んだ後に剥製になりました」
また、家庭内では絶対的な存在だった。
「食事の時には祖父も祖母も兄も私も、何もいわずに黙々と食べ、父が何かしゃべったらそれに答える。気に食わないことがあれば殴られ、蹴られもした。私の友達は、父のことをその独裁者ぶりから(金正日になぞらえて)『ジョンイル』と呼んでいたほどです」
こんな驚くようなエピソードもある。
「私が免許を取ったばかりの18歳くらいの頃、父が自分用に新しい車を買いました。私はそれに乗ってたびたび夜遊びに出かけていたのですが、それがバレて父が激怒。買ったばかりのその車を、ユンボ(ショベルカー)でペシャンコに潰してしまいました。漫画のような本当の話です(苦笑)」
※週刊ポスト2015年12月25日号