永田町には一般の人が聞いてもなかなかわからない、国会議員や秘書、国会職員たちの間だけで流行った独特の隠語、符牒がある。いわば「永田町裏流行語」だ。そこには、今年安倍晋三・首相を苦しめた2つのワードが存在する。
◆「金曜日組」
毎週金曜日、首相官邸前で「安保ハンターイ」と叫んで安保法制への反対運動を続けている市民グループのことだ。
「国会周辺では毎週木曜日、議員会館の前で抗議活動を行なうグループもあり、こちらは『木曜日組』と呼ばれて参加者の年齢層が比較的高いのに対し、『金曜日組』はSEALDsをはじめ若者の参加者が多い傾向がある。国会議員や衛視、ガードマンまで『今週は金曜日組か、五月蠅くなるな』と普通に使っていた」(自民党ベテラン秘書)
「安倍総理はそれまで自分は若者の支持が高いと考えていたから、安保法制反対運動に大学生や高校生の参加者が増えていくことに非常にショックを受け、とくにSEALDsなど金曜日組の動きに神経を尖らせていた」(大手紙記者)
◆「懲らしめる」
国民の安保批判の高まりを恐れた官邸・自民党はメディアに様々な圧力をかけたが、手痛いしっぺ返しを受ける。安倍支持派の若手議員たちが勉強会で「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番」(大西英男・代議士)などと経団連に働きかける発言をしていたことが発覚、流行語になる。「国対でうちの幹部が、『よし、この材料で自民党を懲らしめてやる』と使っていましたね」(民主党秘書)
「『なんか自民党、感じが悪いよね』と国民の意識がだんだん高まっていったときに危機を迎える」という石破茂・地方創生相の「名言」が飛び出したのもこの時だ。
※週刊ポスト2015年12月25日号